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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

森吉でのコウモリ観察会

2018年07月18日
秋田 足利 直哉

秋田自然保護官事務所の足利です。

 

 7月15日(日)に森吉山野生鳥獣センター運営協議会主催の自然観察会、『コウモリ観察会』を実施しましたのでお伝えします。今回の観察会はNPO法人コウモリの保護を考える会との共催で実施し、参加者・スタッフ合わせて32人で実施しました。

 この観察会は夜間に行う観察会と言うことで、共催するNPO法人コウモリの保護を考える会の会員と一緒になって、事前に観察会ルートの整備・清掃を徹底して行い、参加者が躓いたり、枝に引っかかったりすることが無いようにと入念に準備をして本番に臨みました。

   

 先ずは森吉山野生鳥獣センター館内での事前レクチャーです。最初に参加者全員にコウモリの絵を描いてもらいました。コウモリの特徴を細部までよく捉えているものから、映画などでお馴染みのヒーローのロゴマークを思わせるものまで色々でした。続いてNPO法人コウモリの保護を考える会の方からコウモリの体の特長や生態、秋田県内での観察情報などをお話しいただいてから、岩手県内で採取したコウモリの糞を顕微鏡で観察しました。

   

<事前学習の様子>

  

 こうしてバッチリ事前学習をしたところで、いよいよ観察となるのですが、コウモリは夜活動するので、なかなか肉眼で捕らえることが難しいです。そこでバットディテクターというコウモリの出す超音波を我々人間が聞こえるように変換してくれる機械を使って観察するのが有効です。NPO法人コウモリの保護を考える会で日常的にコウモリの調査を行っている方に参加者のグループ毎にバットディテクターの使い方を解説していただきました。

   

   

 最初の観察は、周辺をぐるりと見渡せる森吉山野生鳥獣センターの駐車場で行いました。日没までもう少し時間があったので充分に肉眼での観察が可能な中、一羽のアマツバメが私たちの上を通り過ぎました。講師からは「これからアマツバメと入れ替わってコウモリが飛ぶかも知れませんよ」という解説があったのでバットディテクターを上空に向けていたところ・・・バットディテクターから「カタカタカタカタカタ」という反応があり『出た!コウモリ』という講師の声。比較的高い場所を飛ぶコウモリの存在を確認することが出来ました。このとき個人的には、これまでこうした時間帯に空を飛ぶ生き物を見つけても鳥だろうと思っていましたが、『もしかしたらコウモリも見ていたかも知れない。』と思い、私が思っているよりコウモリは私たちの近くにいるのかも?と気づかされました。

 日没時間を過ぎ、徐々に辺りが暗くなっていきます。既に野外に出てから相応の時間がたっているので周囲が徐々に暗くなってきても目は順応しています。とは言え、森の中は既に暗くなっていますので、安全に配慮しつつ、コウモリの観察がしやすいように出来るだけ明かりを絞って、観察ポイントの湧水池まで移動します。

 到着した時点ではまだ周囲の様子が確認できる状態で、そこからコウモリが現れるのをバットディテクターを構えて待ちます。暫くすると皆さんが構えたバットディテクターが一斉に鳴り出しました。周囲が闇に包まれた頃合いを見計らってこの日の食事にありつこうと出てきたコウモリの第1陣が湧水池の上を飛び回っていたようです。その後も断続的に反応が見られ、中には飛翔するコウモリの姿を見た方もいたようです。

  

 帰り道、NPO法人コウモリの保護を考える会の方が実施していた調査の様子を見学したのち全員無事に森吉山野生鳥獣センターに到着し、観察会は終了しました。

 

<コウモリ調査を見学中>

 

 参加して下さいました皆様ありがとうございました。NPO法人コウモリの保護を考える会の皆様、お疲れ様でした。皆様のおかげで充実した観察会を無事に終えることが出来ました。この場を借りてお礼申し上げます。