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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

渡り鳥の飛来状況調査

2016年11月09日
秋田 足利 直哉

 立冬を過ぎたと思ったら、今日は秋田市で初雪となりました。風もビュービュー吹いていて寒さが堪えます。こんな時、野鳥達はどうしているのかな、なんて考えてしまいます。

  

 今、秋田県内には冬の渡り鳥たちが続々とやってきています。夜に暗闇の中からハクチョウの声が聞こえてきたり、普段見慣れない鳥が見られたりと野鳥たちからも季節の移ろいを感じる今日この頃ですが、この時期環境省では「渡り鳥等の飛来状況調査」を実施しています。この調査は、鳥インフルエンザ対応の一環として渡り鳥の状況を捉えるために実施しているもので、毎月上旬中旬下旬の3回の調査を実施していて、国指定大潟草原鳥獣保護区もその調査区域となっています。

 先日、その調査のために国指定大潟草原鳥獣保護区に行ってきました。この調査ではこの区域の渡り鳥の生息状況などを正確に把握することが求められているため、日最大羽数をカウントできるように日の出直後に調査を実施しています。

 早起きの苦手な私は、日の出前に調査地まで行くのが最もつらいことですが、それを我慢して調査をしていると心が洗われるような光景に出会うことが出来ます。

 

 調査日に撮影した、日の出の頃の西部承水路の様子です。山並の向こうから太陽が昇ってきているのが分かります。調査中ですのでなかなかじっくりとご来光を拝むことは出来ませんが、早起きのご褒美のように感じられて、眠気も疲れも吹き飛ぶようです。

 

 

 薄暗い水辺が徐々に明るくなって、朝焼けに染まりながら塒を飛び立って行く野鳥を観察するのは何とも気持ちの良いものです。この日はヒシクイの群れが塒から飛び立って行きました。まだまだ羽数は少なめですがこの大きな鳥が集団で水辺から飛び立ち、鳴き声を上げながら餌場へと向かう光景は何度見ても飽きることはありません。

 

 ハクチョウ達はガン達に比べると遅めの塒立ちで、しかもみんなが一斉に飛び立つと言う事は少なく、家族と思われる数羽単位で飛び立って行きます。朝の静けさの中、ハクチョウ達が突然羽を動かし、水面を蹴ってスピードを上げていく様子が大好きで、ついつい魅入ってしまいます。

 県内各地から、ガンやハクチョウの確認情報が聞かれるようになってきました。そんな時期の今日のような荒天は、色々と厳しい面もあるのですが、一方でこの後、渡り鳥たちが大挙してやってくるかも?なんて期待を何処かでしてしまってる私もいます。

 今回の調査では、傷ついたり、弱ったりしている野鳥は見つからず、一安心でした。でも油断せず、キレイな景色に出会えるのを励みに、キチンとした調査で情報収集に努めていきたいと思っています。