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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

「冬のできごと」

2016年03月17日
裏磐梯 渡部 のり子

みなさんこんにちは。

裏磐梯の渡部です。

              

今年は暖冬で裏磐梯も昨年と比べてずいぶんと雪が少ない状態です。

いつもは長い冬ですが、あっと言う間に春の陽気が漂っています。

                 

さて、今回の日記ではこの冬いつもとちょっと変わった出来事があったのでそちらを紹介します。

                     

〝それ〟がやってきたのは、1月の末のことでした。

猪苗代湖の北岸に長浜という浜があります。

めずらしく平日・休日問わず人だかりができていました。

                   

写真:めずらしくひとだかりが...

                    

なんだろうと行ってみると、そこにはハクチョウやカモに混ざって一羽のコクチョウがいたのです!

(見に行った!という方もいらっしゃるかもしれません)

                                                

初めて見たのですが、くちばしと目が赤く、体は本当に真っ黒でビックリしました。

コクチョウは日本にやって来る渡り鳥ではないので、どこかから逃げ出したのだろうということでした。

                        

写真:羽は白かったです!

                          

はじめ、湖ではハクチョウやカモたちが遠巻きにコクチョウを見ていたのですが、

数週間もすると警戒心も薄れてきたのか、コクチョウの近くでハクチョウやカモたちがスィ~っと泳いでいて、なんとも見慣れない不思議な光景でした。

周りの観光客からは「早く仲良くなるといいね」とか「今日はいないのか残念」といった声を聞きますが、

私達の立場からはそう喜んでもいられず、『外来生物』として注視しなければなりません。

                    

写真:人だかりにも慣れているようです

                    

最近も湖で見かけるのですが、春が近づき多くのハクチョウやカモたちは北に旅立って行きます。

水鳥たちで賑やかだった湖もだんだんと静かになり、大きなコクチョウが1羽、どこか寂しそうです。

                         

逃げ出したり、放したり、捨てたりすることで、『飼育されていた生き物』と『放された自然に住んでいた生き物』とが生きるために『競合』することになります。

こうした争いが、今話題になっている『生物多様性』や『外来種』の問題へとつながっていきます。

このコクチョウに限らず、生きものを飼育されている方はどうか最後までパートナーであり続けて下さい。

                      

今回はこのような形でコクチョウに会うことになりましたが、もとはオーストラリアに住んでいるそうです。

もとの住まいではたくさんの黒いかたまりになって湖を泳いでいるのでしょうか...。

ちょっと見てみたいですね。

                  

世界には本当にいろいろな生き物が生活しているんだなぁと実感しました。