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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

平成27年度朝日連峰合同保全作業を実施しました!

2015年09月08日
羽黒 白銀 顕

 朝日連峰保全協議会の平成27年度合同保全作業が8月29日(土)~30日(日)、銀玉水上部の荒廃箇所にて開催され、事務局として参加してきました。両日ともにあいにくの雨模様となりましたが、朝日連峰を取り巻く各山岳会の皆さんをはじめ、総勢約50名が集結しました。

【登山口にて各班打合せの様子】

 作業地は「銀玉水」という水場の上部、標高約1680m周辺の人為的な影響で荒廃が進行している箇所です。ここは、平成21年設立の当協議会が初めて合同保全作業を実施した箇所でもあります。当時、緑化ネット敷設や分散排水などの作業を行い、一旦は回復した植生も、ネットの消滅や歩行路が再び複線化したことなどにより喪失され始めていました。そこで、再度保全作業を行うことになりました。

【荒廃の状況(7/14)】

 7月に事前下見を兼ねた講習会を開催し、作業計画図の作製や資材・工具の必要量の算出を予め行いました。そして・・・

【荷上げされた資材(黄麻製ネット、ヤシ製土のう袋・ネット・繊維など)】

 事前の保全資材荷上げ協力の呼び掛けに、何と400㎏弱の資材が人力で作業地へ荷上げされました(毎年恒例の荷上げは通称「荷上げ祭」とも呼ばれ、楽しみ?の一つとなっています)。これも朝日連峰を愛する方々の力です。

【作業の様子】

 作業は3班に分かれ、計画図と班長らの指示をもとに、各班着々と進みました。本来の自然の復元に向けて、土砂流出抑制・水流速度低減を図るために土留めをつくったり、植生回復のために緑化ネットを敷設したりします。歩行路の作業では、登山者が歩きやすいように何度も何度も歩いて足の置場を確認しながら、土のうを設置するなどの配慮もされています。皆さん、雨降りの中で土砂にまみれながらも、朝日の山を守りたい一心に一生懸命、ですが、とても賑やかに楽しく進みます(もちろん私も)。

【作業ふりかえりの様子】

 作業終了後には、全員の共有を図るために、各班班長より作業の意図や成果や発表しあいます。ここの荒廃地も二度目の作業となったように、一度作業をしたら終わりではなく、何度も手を入れてあげたり、回復の状況をモニタリングし続けたりしています。とても厳しい自然相手の植生復元には長い時間も、手間も掛かります。また、施工方法も試行錯誤しながら取り組んでいるので、時には上手くいかないこともありますが、保全作業をしたところは「今、どうなっているだろう?」とつい気になり、ますます今後の状況が楽しみに、そして、愛着が増していきます。

 作業にご参加いただいた皆様、大変お疲れ様でした!また、当日の作業に参加できずとも、荷上げにご協力いただきました皆様も、大変ありがとうございました。

■お願い

 作業地には「植生復元中 通行をご遠慮ください」といった掲示がされています。一部登山道が細くなり、登りと下りのすれ違いの際にご面倒をお掛けしますが、その掲示のある箇所は歩くのを避けて通行いただくようお願いします。