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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ニホンジカ痕跡調査

2015年06月01日
白神山地 野原七恵

5月18日に、秋田県八峰町でニホンジカの痕跡調査を実施しました。

青森県・秋田県ではここ数年、ニホンジカの目撃情報が増加しており、世界自然遺産である白神山地周辺でも目撃情報がよせられています。

ニホンジカは繁殖力も強く、群れで生活するため多くのエサを必要とします。そのために植物が食べ尽くされてしまう可能性もあります。

もしも白神山地に入ってしまうと、世界遺産に認められた自然が壊れてしまうかもしれません。

ニホンジカの分布拡大への対策として、環境省ではニホンジカの生息情報収集のため自動撮影カメラによる調査を実施しています。

その中の八峰町の二ツ森近くに設置していた自動撮影カメラで平成26年10月17日に、ニホンジカの可能性が高い個体が撮影されました。

顔が写っていないので雌雄は不明です。

その後、写真が撮影された場所の近くでニホンジカが定着していないかどうかの確認調査を雪が降る前に一度、雪どけ後に一度実施する、ということで今回の調査が行われました。

※カメラ設置場所へ至る町道は冬期通行止め解除前でしたが、残雪が残る段階で実施しなければいけない調査ということで、町にご相談し、特別に許可をいただき安全面に配慮して実施しました。

今回は、白神山地の保全管理を行っている行政機関の集まりである、白神山地世界遺産地域連絡会議のメンバーで調査を実施しました。

カメラを設置している道の入口にはまだまだ雪が多く残っていました。

道の上にもまだまだ雪が多く残っています。

白神山地にはカモシカが多く生息しているため、痕跡だけではニホンジカと判別するのは難しいです。

そのため「もしもカモシカかニホンジカか分からないがどちらかの糞が落ちていればDNAを解析していただき判断しよう」ということで糞を探して歩いてきました。

こんな感じで雪の上をウロウロ。

雪の上の方が黒い糞は探しやすいです。

他にも、もしもニホンジカが定着していれば冬芽などを食べた痕や、角を木にこすりつけた痕、毛などもあるのではないかということで、それらも探してきました。

結果は...

雪の上にはウサギの糞がたくさんありました。

が、ニホンジカ(もしくはカモシカ)らしき痕跡は見つかりませんでした。

昨年、撮影されたニホンジカは通りかかっただけなのか、雪が降ってどこかに行ったのか分かりませんが、まだ定着していないようで一安心です。

でも、ここで油断するのではなく、早い段階で何かできるのか考え、白神山地の自然をこれからも守って行くための活動を続けていきたいと思います。

また、環境省ではこれまでニホンジカが生息していなかった青森県・秋田県の皆様にニホンジカやニホンジカ対策の必要性についてわかりやすくお伝えするためのチラシを作成し、配布しています。

以下のページからから、ダウンロードすることができますので、ぜひ興味のある方にはご覧いただければと思います。

http://tohoku.env.go.jp/to_2015/post_8.html

皆様からの有力な目撃情報もお待ちしています。