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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

裏磐梯地区パークボランティア・スキルアップ研修会を行いました!

2015年01月06日
磐梯朝日国立公園 渡部 のり子

皆さん明けましておめでとうございます。裏磐梯の渡部です。
今年もよろしくお願い致します。
2015年が皆様にとって、より良い1年になることをお祈り申し上げます。

   

さて、だいぶ前の話になってしまいますが、今回の日記では先月12月13日(土)に行った裏磐梯地区パークボランティア・スキルアップ研修会の様子をご紹介します。

   

昨年9月に起きた御嶽山の噴火を受けて、登山者の方にも広く火山防災の意識が高まっています。裏磐梯地区パークボランティアの皆さんが活動する磐梯朝日国立公園の磐梯吾妻・猪苗代地域には磐梯山をはじめ吾妻山、安達太良山の3つの火山があります。今回の研修ではそれぞれの火山の特徴を確認し、火山防災について学び、巡視活動や自然観察会の際に役立ててもらうことを目的に行いました。
   

研修会の様子

   
研修会の講師には磐梯山噴火記念館の佐藤公副館長をお招きして、「火山の基礎知識と火山防災」について実験を交えながらご講義頂きました。
   

火山の基礎知識として、火山のできる場所や火山の種類、噴火の種類などを学びました。また、火山防災に関してはハザードマップの見方を教えて頂いたほか、火山災害を始めとした災害に対応するには日頃から『自分自身の住む地域や活動する地域の大地を学ぶことが命を守ることに繋がる』ということを教えて頂きました。
   

講義の他に火山に関する実験も行いました。1つめは成層火山が出来上がる様子を再現する実験、2つ目はマグマの粘り気の違いを見る実験、3つ目は模型に液体を流して泥流を再現する実験を行いました。
成層火山の実験では、火口となる穴から噴出物となる色違いのドロドロが幾重にも重なり、層ができる様子をよく理解することができました。
  

左上:火口となる穴から色のついた粘土のような素材を出す作業
右上・左下:色が違うものを何度も火口から出しました
右下:ストローを使ってボーリング調査!そして切ってみるときれいな層に!

  
マグマの粘りに関する実験では、サラサラな緩いマグマとドロドロな固いマグマの違いを観察しました。きなこで作った山の下から粘り気が違う2種類の液を使って再現しました。サラサラなマグマの方が山の崩れ方が大きく裾野にあたる所まで流れ、ドロドロなマグマは山の崩れ方が小さく、下まで流れていかないという違いが見て取れました。実験を交えての講義だったので、とても分かりやすく、そして楽しく火山について知ることができました。
  

左:サラサラなマグマ
右:ドロドロなマグマ


普段は温泉や美しい景観など、火山の恩恵を受けて生活していますが、火山には噴火という一面もあります。沢山の性質を持つ、火山とどう付き合っていけば良いのかを改めて深く考え、学ぶことができました。
とても分かりやすく講義をして下さった磐梯山噴火記念館の佐藤副館長様、心より御礼申し上げます。
そして、お集まりくださったパークボランティアの皆さん、本当にありがとうございました。


最後に、昨年の12月12日に吾妻山(一切経山)の噴火警戒レベルが2に引き上げられました。大穴火口から半径500mが立ち入り規制区域となっています。(気象庁基準)
現在は冬季のため、磐梯吾妻スカイラインが冬季通行止めとなっておりますが、福島市の対応として高湯ゲート、土湯ゲート、微湯温泉からの登山口で入山規制が行われ、登山を自粛するよう呼びかけを行っています。
山形県側の登山口にも注意喚起の看板が設置されているそうです。各自治体の案内に従って、安全第一とした対応をお願い致します。