東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

外来種 「ベニバナボロギク」から見える牡鹿半島

2014年10月17日
仙台
こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
7月から10月にかけて、トレイル踏査などで牡鹿半島を何度か訪ねて気になった植物についてお伝えします。

今年春、女川町の大六天山を地元の女川ネイチャーガイド協会の方に案内していただいたときに、「秋になるとすごいんだよ。」という言葉が気になっていました。何がすごいんだろう?
その答えは外来種のベニバナボロギクでした。



夏から秋にかけて花を咲かせ、種をつくり枯れていく1年生草本です。名前のベニバナは写真の通り、花の先端が紅色、ボロは襤褸、花の集まりがボロ雑巾のようとか、綿毛の付いた種からか、種を飛ばした後のボロボロに枯れた様子から諸説あるようです。原産は熱帯アフリカ、日本で確認されたのが、九州北部1946年だったそうです。地域によっては、食用にもなる植物。生育環境は、山火事跡、伐採跡など。


牡鹿半島をドライブしている人は、きっと道端や斜面に群生するこの植物を目にしているはずです。


晩夏の雪ではなく、ベニバナボロギクの種の旅立ちです。幻想的で、本当にすごいんです。でも地元の方に聞いたら、この綿毛が網戸や洗濯物にへばりついたりで、困っているようです。

では、どうして牡鹿半島にベニバナボロギクが群生するようになったのかを考えてみました。

平成18年10月の爆弾低気圧で大規模な倒木被害がありました。ベニバナボロギクの生育環境と牡鹿半島の倒木被害と合致したためではないでしょうか?
ここは、ニホンジカが多く生息していますが、シカには食用にしてもらえなかったようです。

ベニバナボロギクから見えてくるのは、牡鹿半島の環境だと思います。山火事や伐採跡ではありませんが、自然災害のため生まれた好適地、指標生物として観ることができます。春には、シカの食害のため、ヒトリシズカやミミガタテンナンショウが目立つ、それぞれを判断するとシカの好みが観察できました。ベニバナボロギクの生育する倒木跡地の今後がどうなるのか見守りたいと思いました。
一つの植物のからでも、環境や生態系が見え隠れする。トレイルルート候補地の牡鹿半島を今回は外来植物から観察をしてみました。