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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

平成26年度 飯豊連峰保全連絡会 合同保全作業

2014年09月09日
羽黒
 平成26年度 飯豊連峰保全連絡会 合同保全作業が8月30日(土)、飯豊連峰の梶川尾根で開催され、事務局として参加してきました。人為的な影響で荒廃した自然を復元させるため、年に一度、飯豊を愛する方々が手を携えて合同で保全作業を行っています。

【作業の様子】
 梶川尾根での作業は、3年続けての実施となりました。毎年、工法や作業の進め方など試行錯誤しながら実施していますが、今年の新たな2つの試みを紹介します。

①事前の施工図作成
 今回は7月の保全技術講習会にて事前に施工図を作成し、それをもとに作業を行いました。講習会では「考える」をテーマに、合同保全作業地の選定、荒廃状況の観察、施工方法の検討、施工図の作成、作業に必要な資材・工具を事前に決めるといった内容でした。


【施工図の一例(A1班)】

【施工後の様子(A1班】】
 これらの成果をもとに、事前のボランティアによる荷上げ資材の種類・量の決定や、当日の班別の資材・工具区分けを行い、作業にあたりました。これまでも下見は実施していたものの、当日作業地に到着してから施工方法を検討し、現地の限られた資材・工具の中で作業を実施していました。そのため、作業時間が少なく、資材・工具にも不足が生じ満足な作業ができないこともありました。
 今回の施工図をもとに作業を行った結果、資材・工具の不足がなく、これまで以上にスムーズに作業を行うことができました。
 

【B1班の施工後】
 今回は標高約1800mの偽高山帯のA班、標高約1300mの樹林帯のB班と大きく2班に分かれての作業でした。樹林帯での合同保全作業も初めてとなりました。

②ヤシ製ポットの新工法

 連絡会の団体会員「NPO法人飯豊朝日を愛する会」へ提供のあった、ヤシ製のポットの活用方法を講習会で考え、登山道脇の壁面に埋め込む工法を試みました。雨水の滴り等で侵食が進行している壁面を保護してあげようというものです。この新工法の成果がどうなっていくか、今からとても楽しみです。

 飯豊の保全作業に教科書はありません。「遊び」を取り入れながら、まず何でも試してみて、成果があればその方法を取りいれ、成果が芳しくなければないで検証して、毎年少しずつ工夫して進めています。成果をすぐに求めることも必要ですが、飯豊は飯豊らしく、少しずつですが着実に保全が進んでいます。


【梶川尾根上部の緑化ネット敷設箇所】
 いまも登山道の荒廃に痛々しさが残りますが、8年前から植生復元を図ってきた敷設緑化ネットからは、たくさんの植物が次々と芽生え、生長しています。


【A班集合写真】
 今回の当日作業には50名の参加がありました。また、作業のみならず、事前の資材荷上げ、下山後の食事当番など、大勢の方々のご協力があって実施することができました。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました!