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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

吾妻山植生復元作業に参加しました。

2014年06月23日
裏磐梯
みなさんこんにちは。
裏磐梯の渡部です。

ここ最近は梅雨空の日が多く、山に入るとブナの幹を雨水が伝い森に水が貯えられていくのがよくわかる季節です。

さて、6月21日(土)に、磐梯朝日国立公園 吾妻山 酸ヶ平(すがだいら)・姥ヶ原(うばがはら)地区植生復元作業に参加しました。今日はその作業の様子についてご紹介します。

酸ヶ平、姥ヶ原は浄土平を一切経方面へ行く途中にある登山道沿いの湿原です。登山道沿いには踏みつけやカメラの三脚を立てる等して土が踏み固められ、植物が生育できない荒れた状態となっている所があります。こうした場所に植物が再びもどるよう、植生復元作業が平成16年から行われています。

植物が生育しやすいように植生ネットを張ったり、荒れた土地に適応した植物の種をまいたりする作業を行いました。

はじめに、植生復元を行う場所にまく種を取りに行きました。種はヒメスゲで、荒地での生育に適した植物だそうです。まく種は他の地域からは持ち込まず、作業場所と同じ吾妻山の山域で採取したものを使用しました。


ヒメスゲ

採取した種を現場に持って行き、植生ネットを敷いて種をまきました。平成16年から行われてきた作業ですが、まだ荒れた状態が続いているようでした。ですが、ところどころにヒメスゲや低木の植物が石の隙間や過去に敷いた植生ネットの隙間からぽつぽつと顔を覗かせていました。吾妻山山域を大切に思い、活動を続けてきた皆さんの努力に応えるように、ただでさえ厳しい環境の中で育つ植物たちの生き抜こうとするその力強さに心を打たれました。早く緑が戻ったところが見たいなと思いました。


作業の様子

これから、荒れた土地に完全に緑が戻るには長い年月が必要なのかもしれません。「自分ひとりくらい踏んでも大丈夫」、「自分ひとりくらい湿原に三脚を立てても大丈夫」と思わず、美しい自然の姿が人の手で消えてしまうことがないよう、地域の人だけでなく訪れる人みんなで大切にしていければ良いなと思います。


ぽつぽつと根付く植物

今回の作業でまいた種がひとつでも多く根付くことを心から願っています。