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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

『全国ガンカモネットワーク交流会』が開催されました

2014年03月06日
秋田

 3月1日(土)~3月2日(日)の2日間、大潟村干拓博物館を主会場に『東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ 全国ガンカモネットワーク交流会』が開催されました。

 といっても『東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ』って何?『全国ガンカモネットワーク交流会』ってどんなもの?という方もいらっしゃると思いますので、ざっと説明をさせていただきます。
 より詳しい説明や図等は下記の「環境省報道発表資料」にありますのでこちらもご覧ください。
全国ガンカモネットワーク交流会(秋田県大潟村)の開催について(お知らせ)




 季節によって生息場所を変え、国境を越えて広く移動する渡り鳥達。彼らが移動するその道をフライウェイと呼んでいて、地球上には9つの主なフライウェイがあるとされています。そのうち日本とその周辺を含むフライウェイを『EastAsian-Australian Flyway』といい、日本語に訳すと『東アジア・オーストラリア地域フライウェイ』といいます。そしてこのフライウェイの国々やそこで渡り鳥を守る活動を行っている人たちが協力するのが『東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ』です。現在30の国やNGOなどの団体が参加し渡り鳥の生息状況や保護活動について情報や技術の交換が行われています。


 東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ上では、渡り鳥の重要な生息地が参加して『重要生息地ネットワーク』を作っています。現在113箇所でそのうち日本には30箇所の生息地が参加しています。
 また東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップには『ガンカモ類ネットワーク』、『ツル類ネットワーク』、『シギ・チドリ類ネットワーク』の3つのネットワークがあります(EAAFPが守る水鳥には上記ネットワーク対象種以外にもアビ類、カイツブリ類などの他多くの水鳥があります。)。今回、大潟村で行われたのは『ガンカモ類ネットワーク』に参加する国内18箇所の重要生息地で渡り鳥の保護に携わる団体の方々や行政担当者が一堂に会する『ガンカモネットワーク交流会』です。

 
 前段が長くなりましたが、こうした説明を要するのは、この様な交流会が行われたのは今回が初めてだったからです。これまでも宮城県北部の生息地で活動する方と秋田県沿岸部の生息地で活動する方々が『今日、こっちのガンの数が減ったから、そっちに移動したんじゃ無いか?』といったようなやりとりを通じて個々に連携する場面はありましたが、18箇所の重要生息地に関わる方々が幅広に連携する場面というのが決して多くないというのが現状だったそうです。またフライウェイサイトと呼ばれる重要生息地は直ぐ近くにあるという事例も多くは無くて、例えば自治体の担当者がなにか課題に直面しても、相談したり参考となる事例を探すのが容易ではないという問題点も指摘されていたそうです。この様な理由から『交流会』の開催が望まれることとなって、今回の開催に繋がったのです。


 主催は、環境省、大潟村。さらに大潟村教育委員会、大潟の自然を愛する会、男鹿半島・大潟ジオパーク推進協議会より協力を頂きました。またこの交流会は大潟村創立50周年事業ともなっています。
 北は北海道浜中町、南は鳥取県米子市より17名の方々が参加し、オブザーバーとして秋田県自然保護課などにも加わって頂き、主催者・ガンカモ類専門家・事務局、更には一般参加者も加わり総勢40名を越える交流会でした。


 先ずは主催者を代表して大潟村の高橋村長よりご挨拶、続いて日本雁を保護する会の呉地会長より『東アジア・オーストラリア地域おけるガンカモ類の現状について』と題した講演、EAAFPのSpike事務局長より『Partnership for the EastAsian-Austrelian Flyway』と題した講演をしていただき、参加された方々は皆真剣に講演を聴き、熱心にメモを取って、理解を深めているようでした。
 

 交流会の中では4つのグループに分かれてのワークショップも行われ、私も参加させて頂き、各サイトが抱える悩みや課題などをあげ、そこに自分たちがもってる経験や情報がヒントとなるようなワークが行われ、私も非常に大きな収穫を得る事が出来ましたし、他のグループに参加していた方々からも『○○という良い話が聞けた。』『△△はうちでも出来そうだから計画を立ててみる』などという声も聞かれました。中には深い悩みもあって直ぐに解説策を見つけるのが難しいこともありましたが、『同じ様な悩みを共有していると言う事が分かっただけでもちょっと気が軽くなったような気がする』なんて声もありました。
 この後、行われた懇親会でも活発な交流が行われていましたし、あちこちで名刺交換をする様子が見られました。

 ※この他、早朝の塒観察やガンカモ類を中心とした野鳥観察会なども行われましたが、これについては次の日記で御報告します。


 今回の交流会が参加された皆様にとって収穫の場になって、その収穫が今後の取り組みに活かされる事を願っています。私の話で恐縮ですが、この交流会は本当に貴重なものでした。早速数名の方々と情報交換をさせて頂いたり、貴重なアドバイスを頂いています。この交流会が大潟村で開催されたこと、私も末席に加えて頂けたことに感謝しています。


 交流会の最後にみんなで撮影した記念写真です。ガンカモの保護に携わっている方、ガンカモ類の生息地で活動している方が大集合した豪華な顔ぶれが並ぶ記念写真です。少々時間が経った今、見てあらためて交流会での充実感が表れている記念写真だなと感じています。


 来年度はEAAFPの『ツル類ネットワーク交流会』が計画されているそうです。その交流会でも今回の私のように大きな大きな収穫を得る方が大勢いるだろうと確信しています。そしてフライウェイの各ネットワーク上に人間同士の『輪』が大きく大きく広がっていくことを確信しています。