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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

白神山地四季折々 ―定点カメラによるフェノロジー調査―

2014年01月29日
白神山地
白神山地のブナ林は、日に日に移ろいを見せています。白神山地世界遺産センターでは、櫛石山の南西部の核心地域に定点カメラを設置し、ブナの定点観測写真の撮影を行うことで、ブナの開葉・開花・結実・黄葉・落葉等のフェノロジー(生物季節)を把握する試みを行っています。
カメラは1日1回2方向(アラート1、アラート2)のブナや林内の状況を撮影し記録しています。撮影成果はこちらをご覧下さい。
もちろん一年中、晴れの日も雨の日も、雪の日も撮影しています。しかし撮影に際し、バッテリーを用いた太陽光発電によって機材を稼働させているため、日射不足により撮影機材が起動出来なかった日もありますのでご了承ください。

●定点観測からわかること―日々の移ろい―
普段の一日一日の移ろいの中で植物は、日々変化しています。白神山地のブナ林も同じ様相の日はありません。
例えば、その変化が顕著なのは10月末の紅葉の時期です。2012年の櫛石山のブナ林の紅葉の時期は、10月23日頃に始まり、10月29日はほぼ黄色に染まり、一部褐色になっている部分も見られます。その2日後の10月31日は褐色がほとんどを占め、一週間後には、ほとんどの葉が落葉してしまいました。このように2週間の間で、ブナ林の様相は激変してしまうことがわかります。さて、その変化は毎年同じなのでしょうか?

■櫛石山における紅葉の日変化

●定点観測からわかること―年ごとの違い―
次は、紅葉の時期と一点して、芽吹きの時期に注目して見ましょう。
2010年から2013年までの芽吹き(ここでの芽吹きは、カメラで完全な開葉が確認された2日前としています。)は下の写真のとおりに整理できました。
 芽吹きの時期は、2010年で5月12日、2011年で5月16日、2012年で5月6日、2013年で5月14日になりました。核心地域のブナ林の芽吹きの時期は、多くの残雪のため入山出来ず確認することが困難でした。しかし、定点カメラから大体の時期が伺いしれるようになり、櫛石山でのブナ林の芽吹きは周辺地域より大体2週間ほど遅い5月中頃から末頃にかけてということが推測されます。
しかし、2012年5月のように、芽吹きが著しく早いこともあるので、今後も定点観測をしながらブナ林の変化を追い続ける必要があります。

■櫛石山における芽吹き時期の年変化