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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

森吉山鳥獣保護区管理員さんと行く縦走路巡視

2013年10月30日
秋田
 紅葉が高山から里山に下りてきて、秋田市内の街路樹も色づき始めました。紅葉の見所が沢山ある秋田県内まだまだ各地で楽しめそうです。
 森吉山鳥獣保護区では、森吉山野生鳥獣センターへのアクセス道路が今見頃を迎えています。

 今から数日前、日頃業務でお世話になっている鳥獣保護区管理員さん達と一緒に『縦走路』の巡視を行ってきました。


 先ずは10月10日(木)に森吉山鳥獣保護区管理員の福士さんと一緒に森吉山東側外輪山のヒバクラ岳~小池ヶ原~割沢森の縦走路を巡視してきました。ここは森吉山本峰へ続く各登山道の中で最も距離が長いコースの一部で、森吉山鳥獣保護区の中では距離も長く、標高差も大きいところです。

 
 ヒバクラ湿原~小池ヶ原の間の高層湿原を歩くと西には森吉山本峰(向岳)~一ノ腰。南側へ目を転じると太平山地が望めます。その反対東側を眺めると森吉山麓高原を経て八幡平~裏岩手縦走路へと続く山並みが望めます。
 この日は、湿原の草紅葉もキレイでしたし、山を下り始めた紅葉の様子も見ることが出来ました。中でも私が気に入ったのが『樺の白い幹と周りの木々の紅葉』そこに日射しが注ぐ様子はとてもキレイでした!!

 このコースは森吉山鳥獣保護区の中では唯一山岳展望が望めるコースで、しかも山麓から山頂部まで、まさに教科書通りの植生の垂直分布を観察しながら歩けるのが特長です。


 この日は①豊作とされ様々なキノコが顔を出し、②ツキノワグマの残した皮剥や爪痕の等の痕跡を見つけ、③標高1300m付近の高層湿原で過ごす渡り途中と思われるノビタキの小群を確認し、④池糖に産卵するオオルリボシヤンマに元気づけられながら歩いてきました。



 続いて、10月28日(月)には森吉山鳥獣保護区管理員の成田さんと一緒に小又峡縦走路を巡視してきました。ここは森吉山鳥獣保護区に2つある特別保護地区の間に位置し、縦走路はそれを繋ぐように伸びています。スタートは森吉山野生鳥獣センター周辺のノロ川特別保護地区で、ゴールは太平湖特別保護地区にある太平湖グリーンハウスとしました。


 このコースは、秋田県の名勝天然記念物に指定されている小又峡にそって伸びる縦走路で、途中には小又峡に注ぐ支流を何度か越えて、一枚岩の痩せた稜線を辿るなど変化に富んだアップダウンが続くのが特長です。
 コース上には鎖の設置された箇所や頑丈な梯子の設置された箇所が連続します。途中の展望は抜群で北方にそびえる竜ケ森を眺めながら、両側の大岩壁、多様な植生、遙か足元に見える滝とその轟音など見所が連続し、あまり疲れを感じずに歩く事が出来ました。


 この日、私が特に楽しんだ『変化』は歩道を埋め尽くしていた落ち葉たち。場所によって赤い絨毯だったり黄色い絨毯になったり、はたまた細かな毛並みを思わせる絨毯であったり、豪快に編み込まれた絨毯の様であったりと落ち葉の種類によって違った色合い、感触を楽しむ事が出来ました。



 鳥獣保護区管理員さん達には巡視業務で野鳥などの生息情報、制札などの施設の管理、利用者への指導などを行っていただき、それを報告していただいているのですが、なかなかじっくりとお話しする機会というのが持てずにいます。そこで時にこうして一緒に巡視して情報交換をしたり、日頃感じている事を話してもらう機会があればなぁと感じていた中、実現した機会でした。

 普段の巡視は一人でする事が多いのですが、この地域に精通している管理員さんと一緒に歩くことで得たものはとても多く、良い勉強になりましたし、森吉の魅力を再発見する機会となりました!!