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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

大潟草原鳥獣保護区で植生調査を実施しました

2013年09月13日
秋田
 時節の挨拶の時、『日が短くなってきたね~』という言葉が聞かれるようになってきました。この前まで仕事が終わってからもまだまだ明るくて外で活動する時間があったのに今や・・・。


 このところの私の記事は森吉の話題ばかりになっていましたが、決して大潟に足を運んでいなかったわけではありません!と言うことで今日の日記は久しぶりに大潟草原鳥獣保護区の話題です。

 現在、大潟草原鳥獣保護区では、ほとんどの鳥類の繁殖が終り、鳴き声もほとんど聞かれなくなりました。そんな中、目立つのがコロニーで繁殖したサギ達。特にゴイサギは南の池や特別保護地区の水辺に数百羽がまとまって見られます。また水辺にはチラホラとカモの姿も見られるようになってきました。秋の渡りが始まっているようです。

 そんな水辺の賑やかさと比べると草原の静けさは寂しさを感じるほど。でもそんな時期だからこそ、植生調査が出来るのです。
 草原性鳥類達が繁殖活動中は彼らの行動を離れて見守ることとして、観察路の草刈り作業や植生調査は行っていません。真夏の観察路などは背丈を超えるヨシが押し寄せて道を狭めているので、歩くのにも支障があるくらいですが、それでも鳥類の為に我慢我慢の日々を送ります。植生調査も一定範囲をつぶさに調べるために草原に踏み込んで行く必要があるので、万が一にも鳥の巣を壊すことが無いように、繁殖が一段落したこの時期に毎年実施しています。


 タイトルが『植生調査を実施しました』となっているので私が調査したかのようになってしまいましたが、実際に調査するのは植物の専門家の方で私は、鳥類が利用したエリアや、巣がある場所を示してその周辺の植生調査をしてもらう為の謂わばちょい役です。

 大潟草原鳥獣保護区ではオオセッカが好む生息環境・繁殖しやすい環境を作り出すための環境整備事業を実施しています。具体的にはヨシが密になりすぎないように、適度に下草が生える状態を作り出す為の作業を行っているのですが、その時に活用するのがこの植生調査の結果なんです。

 今回の植生調査では、あるエリアがヨシなどの背丈の高い植物が旺盛になりすぎて、オオセッカが好む環境からかけ離れつつある事が分かりました。今後この結果を基に、環境改善事業を行うエリアを絞り込んでいくことになります。



 調査が行われている間、私は耳を澄まして植物の名前を聞き取っていました。自分でも同定できる植物も増えてきましたがまだまだ分からないものも多いので備忘録として写真撮影してきました。さらに調査の手を休めて教えてくださった名前の由来やその植物が好む環境なども『なるほど!』な事ばかりでした。
 そんな中から4点ほど紹介します。左上から時計回りに・・①ヒメシダ②コウヤワラビ③イシミカワ④アカバナ。聞いても一度では覚えられないのでこうして日記に書いて、頭にたたき込もうかと思います。