東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

干潟の小さな生き物たちに会いに行こう!

2013年08月08日
仙台
8月4日、蒲生干潟で記念すべき観察会が開催されました。
蒲生干潟を守ろうと1970年に発足した「蒲生を守る会」主催の観察会ですが、震災後途絶えていたもので、今回で177回目を数えるそうです。

この日、参加者は110人を超えていました。震災前からの常連さん、干潟がどうなったか心配していた多くの人々が集まりました。

干潟のベントス調査グループは、「干潟の表面の生きものを探す」「干潟の泥の中の生きものを探す」グループに分かれました。また鳥類、魚類、植物などなんでも観察のグループという観察方法に分かれて観察しました。

ウミネコやダイサギ、カワウなどを観察したグループが次に望遠鏡で覗いている先では、小さなチゴガニがハサミを上下してダンスしています。「盆踊りみたい!」、「縄張りを主張していいるの?」参加者の皆さんはいろいろな見方をしています。


干潟のベントス調査グループでは、たくさんの生きものを発見したようです。「蒲生を守る会」の熊谷さん(写真左)は、ひとつひとつ丁寧に解説しています。今回の観察会には、特別講師として東北大の鈴木孝男助教も協力してくださり、次から次と、みんなの見つけた生きものの名前が呼ばれていきます。
鈴木先生や蒲生を守る会の皆さんが喜んだものでは、震災後初確認となる貝類、サビシラトリガイ、クリイロカワザンショウのどちらも準絶滅危惧種が確認されました。また、鈴木先生が蒲生干潟で3個体しか確認していなかったフトヘナタリも1個体発見できました。

クリイロカワザンショウ(大きさ3㎜)写真右上、魚類は、ボラ(幼魚)、チチブ、ウキゴリの仲間、タテジマイソギンチャク、カニや貝など様々な生きものが発見されました。震災前の観察会でもそうでしたが、子供たちは、生きものの前からなかなか離れず、とっても目が輝いていました。

今回の観察会では、蒲生干潟の今を知ってもらうことができました。また、干潟が渡り鳥にとっての国際空港だったり、多くの生きもののゆりかごだったりと多様な役割があることを理解してもらうこともできたと思います。

この日を迎えるために、「蒲生を守る会」の皆さんは安全面や交通面などを準備していました。その様子を見てきたのでなおさらですが、震災直後の瀕死の干潟からこぎ着けた観察会。とてもうれしそうでした。しかし、これで終わりではなく、はじまりの観察会として、これからも蒲生干潟の様子を伝えてくれることでしょう。