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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

鳥獣保護区制札 ~森吉編~

2013年07月29日
秋田
 なかなか梅雨明け宣言が聞かれない東北・秋田。今日もかなりジメジメしています。


 さて、今日は我々が普段行っている業務について書いてみようと思います。

 
 国指定、都道府県指定の各鳥獣保護区には、そこが鳥獣保護区である事を示すために『制札』と呼ぶ看板のような物が設置されています。赤字に白文字で『鳥獣保護区』と書かれている看板(制札)を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか?

 国指定森吉山鳥獣保護区のように山岳地帯の鳥獣保護区は多くの場合、冬期間は積雪のため現地に行くことが出来なくなります。その間は鳥獣保護区制札も現地で長い冬を迎える事となります。
 そして雪が解けて夏山シーズンを迎えるにあたって現地での活動が再開されると各施設の安全確認などを行うのですが、その中には鳥獣保護区制札も含まれます。
 積雪が数mに達するところでは制札がすっぽりと雪に覆われてしまいます。この状態は何ら問題は無いのですが、次第に雪解けが進み、残雪が斜面にそって動き出す頃、制札達は試練の時を迎えるのです。


 雪解け時の大きな力で煽られ変形した看板タイプの制札達です。横45cm以上、縦36cm以上と指定されている盤面がどうやったらこんなに曲がるのか?という程の無残な姿になっている物もあります。支柱が折れてしまうことも頻繁に起こります。
 傾斜が無く平坦な場所に設置された制札は長く無事に役目を果たしているのですがちょっとでも傾斜がある所の制札の傷みは相当に激しくなります。そして山岳地帯には平坦地などほとんど存在しません!
 

 そこで支柱ではなく、スプリングで制札を固定するタイプも物も場所によっては導入しています。大木に守られて盤面にはほとんど傷みが見られません。
 しかし・・・木を観察すると、積雪の予測される高さよりも高い場所に設置してあるのですが、「例年以上の積雪」に見舞われるとスプリングが傷んでしまう事があります。

 これらは厳冬期に鳥獣保護区管理員さんらが掘り起こしたり、スプリングを上にずらすなどして保護しているのですが、それでも全て無傷で越冬できる事はほとんどありません。



 そこで近年増えているのが柱型の鳥獣保護区制札です。通常の制札よりも若干視認性に劣るかなと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、盤面が傷むことも無く、支柱が折れる心配もありませんから管理する立場方見たら頼もしい存在で、積雪地帯にはもっとも適している制札と言えるかも知れません。森吉山鳥獣保護区でも傷んだ制札を交換するときは柱タイプに交換するようにしています。


 しかし!!その柱タイプの制札にも負けじと挑んでいく強者がいるようです。
 写真の上には黒い体毛が残っていました。下の写真はくっきりと残った歯形です。今期は2箇所でこの様な状態になっている制札を確認しました。



 普段、巡視する際や様々な業務で現地にいった際には必ず確認するようにしていますし、定期的に巡視や調査をしてくださっている鳥獣保護区管理員さんにもチェックをお願いしています。そして傷んだ物があれば補修したり、場合によっては交換したりします。
 
 こうして豪雪にも、ツキノワグマにも耐えながら毎日現地に立ち続けている鳥獣保護区制札ですが、グリーンシーズン中にも強風や大雨による土砂崩れ、落石など厳しい試練がいつやってくるか分かりません。もし万が一倒れたり、折れたりした鳥獣保護区制札を見つけたら各担当事務所までご連絡いただければ幸いです。森吉山鳥獣保護区は秋田自然保護官事務所(電話018-867-8588)までお願いいたします。