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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ミニ白神、ブナ林の巡視

2013年04月25日
白神山地
サクラの開花が待ち遠しい今日この頃の津軽地方です。
さて、今回は白神山地の北側に位置する鰺ヶ沢町の「ミニ白神」に巡視に出向きました。
ミニ白神HP:” http://www.town.ajigasawa.lg.jp/page/shisetu/minishirakami/index.html

「ミニ白神」は、鰺ヶ沢駅から車で30分ほど離れた黒森地区にあり、ブナ林は、もとは藩政時代の水源かん養保安林として、田んぼの水を確保するために禁伐林として地元の人々に大切に守られてきました。明治以降土地は国、生えている木は地域住民が管理という「官地民木」の全国的にも珍しい形態で今日まで保護されてきました。
 現在においても、およそ52haのブナ林は人の手が加えられておらず、樹齢200年を超えるブナも見受けられ、白神山地核心地域同様の森林景観を保っています。 (HPより一部引用)

今回は、4月20日に山開きが行われたばかりの「ミニ白神」の情報をお知らせします。


ミニ白神のブナ林 photo 2013.4.23
ミニ白神も山開きこそしましたが、まだまだ雪深い状況です。もっとも深いところで2m程度あるそうですが、着実に春を迎えていました。今回は野原アクティブレンジャーがイベントで使用する写真を撮影するために、白神山地で多く見られる「ウダイカンバ」という樹木を探しながらミニ白神の外回りコースを歩きました。外回りコースは、雪が無い時期には1周1時間半~2時間で回れる散策コースで、ブナやサワグルミ、ミズナラの巨木の森を歩くことがきます。


左:ブナ巨木の森、中:春が訪れた根開き、右:根開きの中の妖精 photo 2013.4.23
根開きしたところを注意深く観察していると、小さな植物が花をつけていました。スプリング・エフェメラルの代表種キクザキイチゲです。落葉広葉樹の森では、地表面に日光が直接差し込む時期は、新緑前の短い期間です。雪解けが進み、いち早く地表面が現れるブナの根元では、一足早く春が訪れます。


左上:イタヤカエデの芽吹き、左下:雪解け水の中のミズバショウ、右上・右下:ホオの芽吹き photo 2013.4.23
また、ブナ林内では様々な変化が見られました。
1週間前までは、冬芽の中でじっと耐えていた小さな葉が、芽鱗を押し広げながら外の世界に出てきていました。皆さん、芽吹いたばかりの葉が赤いことをご存じでしたか?ちょっと意外に感じませんか?
ちょっとした窪地には、周りの斜面から雪解けによる流水がたまり、サトイモの仲間でおなじみのミズバショウが、白い帆を広げているように見えました。ミズバショウの白い部分は仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれ、一見花のように見えますが、仏炎苞は葉が変形したもので、中央にある黄色い円柱状の部分が花序(かじょ)と呼ばれ、多数の小さな花の集まりになります。


小高い丘から見たミニ白神のブナ林 photo 2013.4.23
巡視の際、注意深くあたりを見回し、時には細かく観察し、調べることもあります。
今回の巡視では、ブナ林の中の植物だけで無く、動物の足跡や採餌の跡、鳴き声、野鳥のさえずりなど多くの野生動物が活動し始めたことを把握することができました。ミニ白神周辺でも、ツキノワグマの活動が報告されています。
本格的な春の訪れも、そう遠くないようです。