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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

春の訪れ~暗門ブナ林の今~

2013年04月15日
白神山地
皆さんの周りには「春」はやってきていますか?
春を実感する「瞬間」はどのようなタイミングですか?
白神山地がある津軽地方は、日本でも有数の豪雪地帯です。
今年度、西目屋村内でも2mを超える積雪がふり、至る所で被害を出しました。
4月に入り、雪は気温や降雨により解け、西目屋村にも春が訪れています。
雪に関する話は、日常の話題の中でも頻繁に上がり、
津軽地方の人にとって、雪解け時期の話はとても明るい話題だそうです。

私達にとっても、この雪解けの季節は大変興味深い時期です。
先日、白神山地の玄関口の一つである西目屋村の暗門の滝入り口周辺まで、巡視に出向きましたので、雪解け時期に移ろうブナ林の模様をお伝えします。

○雪の状況
里では、雪解けが進んでいますが、まだまだ2m近くの積雪があり、雪深さを実感しました。雪は締まっていたため、スノーシューが無くても歩ける程度で、巡視には最適のコンディションでした。普段見えている沢の多くはまだ雪に覆われ、全容は見えませんでしたが、一部見えている箇所では、雪解けの水が沢を下って、暗門川に流れていました。水量も多く普段より白く濁り、水温も低い状況でした。


左:雪解けのブナ林 右:まだ雪の多い沢筋 photo 2013.4.12

○冬芽の「芽吹き」と、「1番」
雪の上を歩くと色々な物が目にとまります。その中でも目につくのは、樹木の冬芽ではないでしょうか?木の種類によって様々な形をしている冬芽ですが、雪解けのこの時期には、色々な木々の冬芽が、「待っていました。」と言わんばかりに、芽を膨らませています。


左上:ブナ冬芽 右上: チドリノキの冬芽 左下:ウワミズザクラの冬芽 右下:マンサクの花部 photo 2013.4.12

植物の種類によっては、葉より先に花の芽を膨らませるものもいます。
下の写真は、ブナの花芽ですが、葉の芽より丸みを帯びています。
また、先端部から、雌花と雄花が今にでも飛び出してきそうな感じです。
この状態を「萌芽」といい。新しい葉や花の芽吹きをいいます。
ブナ林の中でも「萌芽」の「1番」を争うように、ブナやマンサク、ウワミズザクラが競っています。


ブナの花芽 photo 2013.4.12

○この時期のブナ林の楽しみ方
雪解けのこの時期のブナ林は大変にぎやかです。冬に南の方に旅立っていた野鳥が、雪解けの白神に戻って来ます。特に雄が、求愛や縄張りを示すためにおこなう「さえずり」の練習をしています。また、樹木の葉が茂っていないので、比較的簡単に野鳥を観察することもできます。静かに耳を澄まして、しばらく声の聞こえる方を眺めていてください。枝と枝の間を飛び回る鳥達が見えるはずです。そして鳥達が、何をしているかじっくり観察することができます。


ゴジュウカラ(?) photo 2013.4.12

雪解け時期のブナ林は一日として同じ風景がなく、日々変わり続けています。1日ブナ林にいても「春探し」で楽しめます。もうしばらく暗門への道路は閉鎖されていますが、身近な場所で春を感じて頂き、家族や友達で「春の喜び」を共有してみては如何でしょうか?

※岩崎西目屋弘前線(西目屋村川原平~西目屋村暗門) 4月25日(木)午前9時開通(予定)