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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

月山VCとパークボランティア体制強化に向けて

2013年03月27日
羽黒
 3月9日、羽黒地区パークボランティア養成研修会を開催しました。

 前回の日記でお知らせしましたが、磐梯朝日国立公園 出羽三山地区において、自然観察会や美化清掃活動などの活動を行っている羽黒地区パークボランティア(以下PV)を募集していました。


 月山ビジターセンターで活躍しているPVの皆さんです。
 
 今回の養成研修会は、PVとして活動するために必要な知識・心得等の習得を目的としたものです。
募集の結果10人の応募者があり、応募者と現在登録している古株であるPVも一緒に研修を行いました。

「環境省の組織と日本の自然公園の制度について」、「磐梯朝日国立公園の概要について」、「PV制度について」といった制度上の講義が続きますが、参加者の皆さんは一生懸命耳を傾けています。
羽黒地区では自然観察会を中心に活動を行っていますが、全国のPVの中では野生生物調査、登山道整備、外来種駆除などを中心に活動している地区もあります。
他地区の活動を知ることは、古株であるPVも大変興味深かったようです。


 今日は久しぶりに講義です。

 また「月山ビジターセンタ-PVの活動について」と題し、現PVである大澤氏から羽黒地区PVの活動について、写真を交えながら年間活動について紹介がありました。
 月山VCは年60近いイベントを実施していて、イベント参加者は1,000人を越える年もあり、地元の人からも愛されている施設です。
それもPVの皆さまの人柄、チームワークがなせることであると理解できる講義でした。


 皆さん真剣に聞いています。

 いよいよ実践的な講義です。
全国森林インストラクター会副会長である三森和裕氏から、インタープリテーションの方法論についての講義を受けました。
自然観察会を行う場合は、自然に対する知識も必要ですが人と接することが基本となります。

 講師と参加者は初めて顔を合わせることも多く、その時に重要なことがアイスブレイクです。
アイスは氷、ブレイクは壊す、という意味ですが、観察会の導入部分として、全員の意識を共有するという雰囲気をつくりだすことが求められます。


 三森氏による講義です。

 ここでちょっとした心をほぐすゲームなどを行うことで、初対面の方々が多い場合、緊張の雰囲気を和らげることができ、お互いを知ることに繋がります。研修では、全員が輪になって相手の名前とボールを投げ合うアイスブレイクを行いました。
 笑顔とおもてなしの心を忘れなず、参加者に心を開くことが大切なことと学んだ講義でした。



 月山頂上小屋の管理人であり、数多くの本を出版されている芳賀竹志さんから、出羽三山の自然について講義していただきました。
 月山も現場で何十年も活動してきている芳賀さんの話は、PVの皆さんも初めて聞く話も多く大変興味深かったようです。

 全国的に○○三山という山がいくつかあり、「三山」という名のとおり釣り合いの取れた山が多いです。
 その点、出羽三山は不釣合いです。まず標高が全く違います。羽黒山は414m 月山は1,984m 湯殿山は1,500mです。しかも、湯殿山には山頂に行く登山道が存在していません。

昔は村山地域にある葉山が三山の一つだったという話もあり、出羽三山の歴史の深さを感じる講義となりました。

 大変盛りだくさんの講義で、研修が終わった後は皆さんちょっとお疲れの様子でしたが、大変勉強になる内容だったようです。


 私個人としては、環境省が協力して欲しいと思う活動とPV自身の意思で行いたいと思う活動が一致しなければ成り立たないという点が、印象に残りました。
国立公園の管理・保護と利用は、多岐に渡る関係者との連携、協働することが肝要であると改めて思いました。 

 来年度から体制強化を行い、更に充実した月山ビジターセンターとPV活動を行っていくつもりです。
 皆さま今後ともよろしくお願いします。