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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

冬の雪山。生き物はどうして冬を過ごす?―西目屋小4年生総合学習―

2013年03月08日
白神山地
西目屋小では、2009年より4学年の総合学習において、白神山地についての学習に取り組んでいます。私たち遺産センターの職員は講師として、日頃から白神山地の自然を通して得られた知識や経験を活かして、学習に協力しています。前回は10月に岩木川の源流の大川をリバートレッキングし、遺産地域との境界線まで歩きました。今回は、人里から少し離れた深山にスノートレッキングに出かけ、冬のいきものの過ごし方を学びました。今回は、その際の模様をお伝えします。

●「スノーシューの装着」
スノーシューは、別名「西洋かんじき」と呼ばれ、特に新雪の上を歩くのに適した道具です。スノーシュー初体験の子も多いため、先生・スタッフに教わりながら装着していきます。装着後は、ストックをもって雪山に出発です。


スノートレッキングに出発 photo 2013.2.26

当日は、非常に天気も良く、3℃近くまで気温が上がりました。東京や西日本の皆さんからすれば、3℃なんて寒いと思われるかも知れませんが、西目屋村周辺ではこの時期氷点下が普通なので、この日は本当に活動に適した日でした。


●「白神にたくさんの雪がふるのは?」「白神の森と町のつながり」
 今回の活動場所は、西目屋村の川原平地区にある広泰寺とその周辺にある弘大白神自然観察園を歩きました。まず、最初に授業をするための机といすを協力して作りました。1人の男の子がスコップで雪のブロックを掘り出し、もう一人がブロックを外に出し椅子を作ります。とても慣れた姿にさすが「雪国育ち」と声を掛けたくなります。


雪の教室での授業風景 photo 2013.2.26

今回のテーマの一つに「雪」を挙げていました。「なぜ、白神にたくさんの雪が降るの?」「雪はよいもの?わるいもの?」「白神と街のつながり」一見ばらばらのキーワードですが、全て雪が関わっています。少し難しいお話でしたが、子どもたちは、質問や感想が口々に出ており、頭のなかにいろいろ思いを巡らせていたようでした。

●本日のメインテーマ「冬のいきものの過ごし方!」
人間は冬になると、厚手の服を身につけ、ストーブで部屋を暖かくし、冬を過ごします。さて「山のいきものは、どうやって冬を過ごしているのでしょう?」子ども達には「動物班」と「植物班」にわかれて、雪山のいきものの痕跡や春を迎える準備について調べました。


自然観察を通して、いきものの冬の過ごし方を考える photo 2013.2.26

今回のフィールド調査では、ウサギやリスの足跡、サルの食痕、キツツキの仲間が木をつついた跡、ミズナラやカエデ、クリ、ホオノキなどの冬芽を見ることが出来ました。動物班の子ども達は、一生懸命に足跡を追って、生き物の生活を考えていました。一方植物班は、樹皮に付着したコケ類を素手で触り、何もないところより暖かい事や、冬芽の中にもう小さな葉がある事を発見しました。


いろんな発見の連続で楽しいスノートレッキング photo 2013.2.26

普段歩けないところも、スノーシューと雪のおかげでゆっくり観察することが出来ました。天候に恵まれた一日で、子ども達もいろいろな体験が出来たようです。このあと子ども達は、夏と今回の体験をまとめたポスターを作成します。どんな風にまとめられるか楽しみです。