東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

白神山地世界自然遺産は20歳!―遺産登録20周年。―

2013年02月22日
白神山地
先日、雪が舞う中、遺産登録20周年を記念した「白神山地世界遺産登録20周年キックオフフォーラム」と白神山地のエコツーリズムの発展を狙った「環白神地域フォーラム~暮らしとつながり・活用を考える~」が弘前市において開催されました。今回は、その際の模様を報告させていただきます。

●「環白神地域フォーラム~暮らしとつながり・活用を考える~」ついて
環白神地域フォーラムは、白神山地に隣接する西目屋村・鰺ヶ沢町・深浦町・藤里町・八峰町、さらに連携市町村である弘前市・能代市・三種町を含めた計8市町村からなる環白神エコツーリズム推進協議会が主体となり、平成22年度から毎年、会場を青森県・秋田県で交互に移しながら、開催しています。


環白神地域フォーラム photo 2013.2.16

今回は、協議会を構成する市町村で白神山地と関わりのある活動をされている団体代表や個人の方が、活動報告や今後の展望について発表されました。ガイドグループや宿泊事業者、ボランティア団体、食品製造業など普段から白神山地を意識されながらお仕事をされている多業種の方が、白神への思いや期待、今後の取り組みについて述べられました。
特に山側の地域と海側の地域での意識の違いや、豆腐作りを通した白神の恵みを伝える活動などが取り上げられ、地域間で良い刺激になったかと思われます。

●「白神山地世界遺産登録20周年キックオフフォーラム」ついて
 皆さん。白神山地と屋久島が世界自然遺産に登録されたのが何年かご存じですか?
今から20年前の1993年12月、第17回世界遺産委員会(コロンビア)において白神山地と屋久島が、世界遺産地域一覧表に登録されることが正式決定されました。今年は、遺産登録20周年にあたり、白神山地と屋久島では、様々なイベントが催される予定です。
白神山地においても様々な取り組みが予定されていますが、今回は、青森県側のイベントに先駆けてキックオフフォーラムを開催されました。


白神山地世界遺産登録20周年キックオフフォーラム photo 2013.2.16

開会の挨拶として青森県副知事が挨拶されたあと、学識経験者によるパネルディスカッションが行われました。パネラーとして、国際自然保護連合日本委員会の吉田正人会長、白神マタギ舎ガイドの牧田肇弘前大学名誉教授、弘前大学白神自然環境研究所の佐々木長市所長が参加されました。吉田会長は、ユネスコが認められた白神山地の価値について振り返られ、ユネスコエコパークなど新たな試みが提案されました。牧田名誉教授からは調査やガイドとして白神山地に携われた経験をもとに、白神の山文化や持続可能な暮らしについてお話いただきました。佐々木所長からは白神自然環境研究所の取り組みの紹介や今後の展望について話されました。パネルディスカッションを通して、白神の価値を再認識することができ、ユネスコエコパークや移行帯の設置という建設的な議論に向かうことができ、これから10年後の白神山地の姿が明るいものになりそうだと感じました。

最後に特別講演として、登山家の野口健さんから、白神との出会いやヒマラヤになくて白神にあるものについて、マタギの知恵や文化的な利用と保護規制のあり方など、海外での体験も踏まえたユーモラスに富んだ話を伺うことができました。


特別講演:野口健「世界から見た白神山地の価値と魅力」 photo 2013.2.16

今回の2つのフォーラムをはじめとして、青森・秋田にまたがる白神山地の魅力を知ってもらう白神山地20周年の記念イベントが始まります。この機会に白神山地の価値や魅力を知ってもらえたら幸いです。