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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

グリーン復興プロジェクト  ~持続可能な社会を担う人づくり~

2013年02月01日
宮古
 
 みなさん、こんにちは。
1月26日(土)、グリーン復興プロジェクトの中の取り組みのひとつ、ESDプログラムの試行が実施されました。震災のあった三陸において、改めて自然環境の成り立ち、森・里・川・海のつながりと人々の暮らしをテーマにとりあげることで、有効なESDプログラムを開発しようという事等の一環です。

ESDとは・・・
Education for Sustainable Development 持続可能な開発の為の教育

今回は、宮古市の小学生を対象にした活動を実施しました。

【ねらい】
地域に豊かな自然があること、そして多様な伝統や文化のつながりについて知ってもらうこと、自然がもたらす恵みへの感謝の気持ちを育むことでした。

宮古市の松山にあるサケのふ化場に行きました。
場長さんに元気よく挨拶をして見学を開始しました。


サケの赤ちゃんを見せていただきました。
この中には、オレンジ色の卵が入れられていました。よ~く見てみると、卵の中に黒い目が見えます(発眼卵)。卵からふ化したばかりの小さな小さな稚魚のお腹は、オレンジ色に膨らんでいて卵をお腹にくっつけているかのようです。


写真上)
室内の様子です。温度を一定に保ち、卵の中で命が生まれるまでここで守られます。青いカゴの中には、びっしりとサケの卵が入っています。先ほど見た場所へ移されるまで、あと少し!!サケは、人間のように日数ではなく、温度でふ化までの成長が決まるそうです。ふ化までには480℃の温度が必要で、つまり蓄積された温度が480℃になるとふ化をします。(例えば水温を6度に保つと、480÷6=80日でふ化)

写真下)
ここは、外にある飼育場です。見ると、たくさんの稚魚が泳いでいました。場長さんは、餌をやっているところを見せてくださいました。稚魚の大きさによって、餌の大きさも変えるのだそうです。自然の川への放流まであと少し!4月になると、旅立って行きます。
場長さんが、言いました。「今日みんなが見た稚魚は、みんなが6年生になったら宮古に戻ってくるんだよ」と。小学生達は、目を輝かせながら、「えぇ!!楽しみだなぁ!」と口にしていました。


岩手県は、本州一のサケの水揚げ量を誇ります。

しかし、自然だけの力ではこのような漁獲高にはなりません。そこには、沢山の方々の支えがあって、サケが旅立ち、育って戻ってきて、私達の食卓に並んでいます。

厳しい自然界で生まれた卵は、すぐに外敵にさらされてしまいます。サケの天然産卵からふ化するのは約30~40パーセントだそうです。また、無事にふ化しても、小さな稚魚たちは、鳥や大きな魚たちの食べ物となってしまうこともあります。ですので、ある程度大きくなるまでふ化場で育って、旅立ちの時期に放流を行います。ふ化場でふ化するのは95パーセント以上にもなるといいます。

岩手県で放流する稚魚の3分の1を宮古地区で担っているそうです。
今回お世話になった、宮古漁協松山ふ化場では1350万匹の稚魚を放流するそうです。しかし数年後宮古に戻ってくるのは2万~3万匹だと言います。とても貴重な命です。
ふ化場での見学は、ここで終わりです。今度は、浄土ヶ浜ビジターセンターへ移動して、ふ化場から出たサケの一生を勉強することにしました。


・・・次回へ続く・・・

次回の日記では、浄土ヶ浜ビジターセンターでは、紙芝居やクイズに挑戦しサケがどのようにして宮古へ戻ってくるのかを学んだ様子を紹介します。