アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
飯豊・朝日連峰の保全推進(幹事会開催報告)
2012年12月25日
羽黒
12月になり、いよいよ雪の季節になりました。
事務所の周辺では吹雪の日もあり、暴風雪警報発令もしばしば。これからは除雪が日課になりそうです。
今回の日記は、12月上旬に開催した飯豊連峰保全連絡会と朝日連峰保全協議会の幹事会の報告です。飯豊、朝日両連峰の取組みの紹介をしたいと思います。
<平成24年度 飯豊連峰保全連絡会幹事会>
日程:12月1日(土)
場所:新潟県関川村
登山シーズンを終えて、連絡会の活動や登山道の状況等について各幹事より報告・情報共有いただきました。
各避難小屋の利用者数が東日本大震災前の人数に戻りつつあること、御沢~大日杉の大規模林道が開通したことなど様々な報告がありましたが、中でも印象的だったのが、民間事業者による登山道整備が困難になってきているということでした。
これは飯豊連峰のみならず朝日連峰も同様ですが登山道の整備は、各自治体が山岳会や民間事業者に委託をして行われていることが多いです。
飯豊連峰は山懐深い山岳地域であって、急峻な登山道を6時間以上も登り続けてようやく稜線までたどり着くなど、登山を行うだけでも相当な体力が必要です。
登山道整備の様子。重い草刈機を担ぎ上げての現場作業は本当に重労働です。
登山道の整備、維持管理には私も何度か現場作業に同行させていただいたことがありますが、1時間程度で歩ける距離の整備に丸一日時間を要する場合もありました。
天候にも左右され、雨が降りしきる中で山中泊をしながら作業を行わなければならないときもあります。山の知見がないと厳しい場面もしばしばです。
草刈や整備のための機材、宿泊のための荷物を背負って移動しつつの重労働になると担い手は多くないことは想像に難くないと思います。
そのような状況の中でこれまで登山道の整備等を行ってきましたが、現状維持が困難になっていることが現場で浮き彫りになってきています。
登山道の整備だけではなく、保全活動、避難小屋の管理、トイレ問題など様々な課題も同様です。
永続的に美しい山岳域を保全していくため、今後の山岳域の利用のあり方について「今」考えていかなければならないと実感しました。
飯豊連峰のハクサンイチゲ
美しい飯豊連峰の自然を次世代に手渡すため、連絡会の活動は続きます。
なお、飯豊連峰保全連絡会第10回会合は平成25年2月6日(水)に福島県で開催予定です。
<平成24年度 朝日連峰保全協議会幹事会>
日程:12月8日(土)
場所:山形県大江町
登山シーズンを終えて、協議会の活動報告と情報共有を行いました。
今年度東北地方環境事務所が実施した金玉水植生復元施設と大鳥池朝日岳線道路(以東岳直登ルート)の整備について、
概ね好意的なご意見をいただいた他、施工現場の荒廃が落ち着くまでの間、段階的な施工を行ってほしいとの強い要望を頂きました。
平野部の道路工事であっても、車の通行や積雪、経年劣化などに対し継続的に整備・維持管理していく必要がありますが、
山岳部の場合は平野部より更に厳しい自然が相手であることもあって、その時々の状況に合わせた順応的な整備・管理が求められます。
公共整備としての性質やヘリでの資材運搬の必要性などを鑑みると山岳部の順応的な対応は非常に困難であり、これはどこの山でも共通する課題だと思います。
そのような状況であるからこそ、可能な限り現場に寄り添ったきめ細やかな対応を心がけたいと感じました。
古寺鉱泉の登山者カウンター
また、今年度から設置している登山者カウンター(日暮沢 朝日鉱泉 泡滝 古寺)の報告では、朝日連峰の各登山口の具体的な登山者数が初めて数値となって出てきました。
朝日連峰主峰であり日本百名山でもある大朝日岳へのメイン登山口である古寺鉱泉口では、入山者の数が3千人を超えました。
飯豊連峰での経験を踏まえて、今後更にデータ分析を進めていきたいと思います。
分析結果は次回の朝日連峰保全協議会で皆様に公開させていただきたいと考えています。
初夏の大朝日岳。
来年度の技術講習会や合同保全作業等の活動についても活発に議論が行われました。
飯豊、朝日両連峰でのこれからの活動にもどうぞご期待下さい。
事務所の周辺では吹雪の日もあり、暴風雪警報発令もしばしば。これからは除雪が日課になりそうです。
今回の日記は、12月上旬に開催した飯豊連峰保全連絡会と朝日連峰保全協議会の幹事会の報告です。飯豊、朝日両連峰の取組みの紹介をしたいと思います。
<平成24年度 飯豊連峰保全連絡会幹事会>
日程:12月1日(土)
場所:新潟県関川村
登山シーズンを終えて、連絡会の活動や登山道の状況等について各幹事より報告・情報共有いただきました。
各避難小屋の利用者数が東日本大震災前の人数に戻りつつあること、御沢~大日杉の大規模林道が開通したことなど様々な報告がありましたが、中でも印象的だったのが、民間事業者による登山道整備が困難になってきているということでした。
これは飯豊連峰のみならず朝日連峰も同様ですが登山道の整備は、各自治体が山岳会や民間事業者に委託をして行われていることが多いです。
飯豊連峰は山懐深い山岳地域であって、急峻な登山道を6時間以上も登り続けてようやく稜線までたどり着くなど、登山を行うだけでも相当な体力が必要です。
登山道整備の様子。重い草刈機を担ぎ上げての現場作業は本当に重労働です。
登山道の整備、維持管理には私も何度か現場作業に同行させていただいたことがありますが、1時間程度で歩ける距離の整備に丸一日時間を要する場合もありました。
天候にも左右され、雨が降りしきる中で山中泊をしながら作業を行わなければならないときもあります。山の知見がないと厳しい場面もしばしばです。
草刈や整備のための機材、宿泊のための荷物を背負って移動しつつの重労働になると担い手は多くないことは想像に難くないと思います。
そのような状況の中でこれまで登山道の整備等を行ってきましたが、現状維持が困難になっていることが現場で浮き彫りになってきています。
登山道の整備だけではなく、保全活動、避難小屋の管理、トイレ問題など様々な課題も同様です。
永続的に美しい山岳域を保全していくため、今後の山岳域の利用のあり方について「今」考えていかなければならないと実感しました。
飯豊連峰のハクサンイチゲ
美しい飯豊連峰の自然を次世代に手渡すため、連絡会の活動は続きます。
なお、飯豊連峰保全連絡会第10回会合は平成25年2月6日(水)に福島県で開催予定です。
<平成24年度 朝日連峰保全協議会幹事会>
日程:12月8日(土)
場所:山形県大江町
登山シーズンを終えて、協議会の活動報告と情報共有を行いました。
今年度東北地方環境事務所が実施した金玉水植生復元施設と大鳥池朝日岳線道路(以東岳直登ルート)の整備について、
概ね好意的なご意見をいただいた他、施工現場の荒廃が落ち着くまでの間、段階的な施工を行ってほしいとの強い要望を頂きました。
平野部の道路工事であっても、車の通行や積雪、経年劣化などに対し継続的に整備・維持管理していく必要がありますが、
山岳部の場合は平野部より更に厳しい自然が相手であることもあって、その時々の状況に合わせた順応的な整備・管理が求められます。
公共整備としての性質やヘリでの資材運搬の必要性などを鑑みると山岳部の順応的な対応は非常に困難であり、これはどこの山でも共通する課題だと思います。
そのような状況であるからこそ、可能な限り現場に寄り添ったきめ細やかな対応を心がけたいと感じました。
古寺鉱泉の登山者カウンター
また、今年度から設置している登山者カウンター(日暮沢 朝日鉱泉 泡滝 古寺)の報告では、朝日連峰の各登山口の具体的な登山者数が初めて数値となって出てきました。
朝日連峰主峰であり日本百名山でもある大朝日岳へのメイン登山口である古寺鉱泉口では、入山者の数が3千人を超えました。
飯豊連峰での経験を踏まえて、今後更にデータ分析を進めていきたいと思います。
分析結果は次回の朝日連峰保全協議会で皆様に公開させていただきたいと考えています。
初夏の大朝日岳。
来年度の技術講習会や合同保全作業等の活動についても活発に議論が行われました。
飯豊、朝日両連峰でのこれからの活動にもどうぞご期待下さい。