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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

秋を感じながら三陸の宝さがし

2012年10月16日
宮古
みなさん、こんにちは。
10月14日(日)「三陸の宝・陸中海岸国立公園から田老へ~復興する宮古と生業を訪ねる」と題して、「宮古エコウォーク」が行われました。
→ http://ecowalk.jp/index.php

 今回のイベントは、復興の源を探しそれを地域の宝として観光につなげ、再び三陸に多くの人に訪れてもらうために実施された復興支援事業の一環です。

田老漁港を出発し、3.11の大津波でもその姿を変えることのなかった三王岩をみんなで見ました。快晴だったこの日、くっきりとした海と空の青がそこに力強く立つ三王岩をより一層輝かせていました。

三王岩を見たあとは、沢尻海岸を経由し真崎原下まで歩きます。沢尻海岸では、車道が流失し寸断されている様子や、柱のみ残った四阿を見て、参加者は津波の威力を感じているようでした。津波の爪痕が残る陸地とは対照的に海と奇岩の成す三陸の造形美には、心を打たれるものがあり、感動されている方が多かったです。


三王岩に向かいます


沢尻海岸から、真崎までは樹木の中の道を歩きます。紅葉はまだですが道沿いには、赤く色づいたガマズミの実、ドングリやキノコ、秋を感じさせるアキノキリンソウ、海をのぞけば岩場にはハマギクやコハマギクなど、たっぷりと秋の自然を見ることができました。


津波で土が流れた場所にも、ハマギクやコハマギクが根を張り花を咲かせていました。

真崎の原下に到着し、待ちに待った昼食です!
田老の魚市場でホタテとウニの乗ったご飯に、サンマの甘露煮などがついた「復興弁当」と、田老漁業協同組合さんのご協力で温かいワカメの味噌汁をいただきました。自然とみなさんが素敵な笑顔になりました。ワカメを入れるかご(ヨゴダ)を椅子にして、海を間近で感じながらのご飯は、新鮮な体験でした。田老漁協の方が、震災から現在にいたるまでの、田老の漁業の貴重な話をしてくださいました。岩手県で最後に再開したのは田老の魚市場だそうです。その場所で、ここでしか味わえない風景と食事を堪能し、格別なものへと変わりました。


食べる場所が変わるだけで、とても特別なものに感じるのは、シチュエーションのマジックと、漁協の方の真心がこもっているからかもしれません。

その地域に住む人たちにとっては、「当たり前、いつものこと」だけれど、実は視点を変えるだけで、特別なものへと変わることがあります。また、ここを訪れた人にとっては、それが素敵で幸せなことだと感じることも多いと思います。食事だけでなく、暮らしもそうで、それこそまさに地域の「宝」なのだと思いました。


今回改めて、三陸にはたくさんの宝があることを実感しました。自然、ここで暮らす人、文化や風習、そして味。是非、三陸に足を運び、地元の人とお話をしてほしいです。そこでしか伝わらないものもあります。



お互いが、「ありがとう」の気持ちを込めて挨拶をしていました。人と人とのつながりも、宝のひとつです。


環境省は、前に向かって取り組む三陸の人々の一助とするべく、グリーン復興プロジェクトを進めています。平成25年の春には、陸中海岸国立公園に青森県の種差海岸・階上岳地域を加え、三陸復興国立公園(仮称)を創設する予定です。三陸の良さを発信し、多くの人に訪れてもらうことで、三陸の復興につながるよう、今回のエコウォークのような取り組みも通じ検討を続けていきます。

→ http://www.env.go.jp/jishin/park-sanriku/index.html