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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

登山道保全修復技術講習会

2012年08月20日
羽黒
 7月28日(土)~29日(日)にかけて、地元の山岳関係者の方々に粗朶(そだ)を使った登山道修復技術を習得していただくことを目的に、登山道保全修復技術講習会を行いました。
 ※粗朶:昔から河川工事や暗渠排水等に活用されている広葉樹の枝のこと。


 実技前に、(株)ニュージェックの川端氏から、
 ①登山道荒廃メカニズムと対策の考え方、②流水コントロールの考え方 ③粗朶(そだ)工法の特徴と粗朶を用いた登山道修復方法、について講義をいただきました。


 その後、朝日連峰古寺ルートにてシダチョウ建設(株)大橋氏に実技指導を受けながら実践的な登山道の修復作業に取りかかりました。

 まずは粗朶排水溝の設置についてです。
作業の流れとしては、現地の地形を観察し、排水に適した地点を選ぶ → 資材となる粗朶を集める排水溝を掘る → 排水溝に粗朶を詰める というもので、コツは排水溝を3~40cmの深さまで掘ること、排水工には粗朶の細い方が下流側になるように詰めることの2点です。
 

 粗朶を使った排水溝の設置作業です

 
 登山道は降雨による表流水の集中が原因で洗掘が進むケースが非常に多く、表流水をいかにコントロールするかが課題です。
これまでは浅く排水工を掘って表流水を登山道外に排水してきましたが、すぐに排水工が土砂等で埋まってしまっていました。
粗朶を効率的に使うことでこの問題が改善されることが期待できます。


 粗朶を使った排水溝の完成です。


 その他、ぬかるみ部に粗朶による排水工と階段工を設置、居合わせた一般登山者の方からは「通りやすくなった」との声が聞かれました。

 粗朶を使った登山道修復は、これまで朝日連峰や飯豊連峰では行ったことがありません。
参加した皆さんは非常に熱心に講習に参加されていました。

 脆弱な山岳域の保全は、自然が相手です。
 試行錯誤しながら改良に改良を重ねていく順応的管理を今後も心がけていく必要があると感じました。

 これからも、様々な関係者の皆様と一緒になって山の保全について考えていきたいと思います。