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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

つくづく惜しい~!

2012年08月13日
仙台
残暑お見舞い申し上げます。
仙台自然保護官事務所の鎌田です。今日も、やっぱり、国指定仙台海浜鳥獣保護区のことです。

8月10日、巡視に行った際のことです。巨大津波にも耐えた松林では、すでにミンミンゼミやアブラゼミが鳴いていたのですが、ようやくこの夏初のツクツクボウシの声を聞くことが出来ました。きっと、震災前であれば「夏が終わるのが惜しい」と鳴いていると感じるのですが、今回は、「つくづく惜しい!」多くの犠牲を惜しんで泣いているかのように聞こえたのです。

これまでに、震災後の蒲生干潟や井土浦のいきものについて、「生きていた!」と喜びを伝えてきました。ツクツクボウシの声を聞いたとき、津波や塩害を乗り越え、夏を一生懸命生きていること、子孫を残そうとしていることを感じました。

あれから1年5ヶ月が過ぎて、松林が消失した場所には小さな湿地、池ができその周辺ではいろんな生命が誕生しています。そして、思わず、喜んだのは、これです。

荒野に赤い茎の植物がすっくと立っていました。タコノアシです。その足元にはマツの実生も!

数は多くありませんが、嬉しかったのです。


このような動植物の息吹を感じることができるのは、仙台海浜鳥獣保護区だけのことではありません。
海岸部では災害復旧等で環境が目まぐるしく変化しています。海岸に住む鳥獣への影響調査は入念に行われているとは思いますが、それでも心配です。
ここは鳥獣保護区なんだから、鳥獣だけ心配したらと、いう人がいるかもしれません。でも、生態系、食物連鎖の頂点を保護するのであれば、底辺である動植物も保護しなければなりません。

人間の営みと自然界の営みの双方がうまく汲み取られることは非常にむずかしいのです。

「つくづく惜しい!つくづく惜しい!」環境の変化に憂慮して泣いている、鳴いているように感じたのです。