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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

キツネの高台移転物語

2012年03月19日
仙台
こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。
東日本大震災から1年が過ぎました。被災された多くの方々が震災前の生活から一変し、表向きは「がんばっています!」、でも裏では大変ご苦労されていいることと思います。

今日は、国指定仙台海浜鳥獣保護区のキツネのお話です。勝手ながら、これからはキツネ目線でお話していきます。


私の家(巣穴)は震災前は、蒲生干潟の前に広がる砂浜(海抜0m)にありました。食事は、旅の途中に息絶えた海鳥やネズミなど、海岸はとっても気に入っています。家の前に食べた動物の骨をよくポイ捨てしていたので、アクティブレンジャーの巡視の際に、見つかってしまいました。私の姿はまだフォーカスされていませんが、・・・・・


ところが、1年前のあの日、びっくりした!怖かったよ!急いで逃げて、私は無事でしたが、家は流され、途方に暮れました。海辺を歩くと食べ物は意外と困ることはなく、でももう、砂浜も地形が変わったので、いい物件は無いかと探しました。在りました!住んでいたところから、500m位離れていますが、高台でここの斜面は津波の被害が無かったところを見つけました。今度の家は非常口の数も増やしてあります。そして、震災前と大きく違うのは、あまり人間が来ないことです。静かで最高!

8月には、アクティブレンジャーにもお披露目したところです。震災前の蒲生干潟の写真から、赤丸の辺りに震災前の家が、引っ越し先は青丸の高さ10m位のところです。鳥獣保護区内で安心!

そう、そう、2月にはウサギさんにばったり会いました。お互いの無事を確認し、この次会う時は、「食事でも!?」そんな会話を・・・・・

1年経つ3月、新居周辺で変化がありました。きっと、人間には一つ、復興に近付くことなのかもしれませんが、私にとっては、ちょっと困ることなのです。

私の家(写真左のロープ内)の前が、サーファーの駐車スペースとして解放され、連日待ちに待ったサーファーの皆さんが利用はじめました。蒲生海岸はサーフィンの名所でしたのできっと、嬉しんだろうな、私の家がみんなに丸見え!これからどうしよかな?

サーファーのみなさん、きれいに利用してね!
私(キツネ)からのお願いでした。
私たちいきものにとって、生まれ育ったところは大切、どんなに変化しても故郷です。