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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

相手を見て

2011年12月21日
秋田
 今日は貴重な冬の晴れ間が広がりました。今晩からまた雪が降り、明後日以降は荒れ模様になるのだとか・・。そう思うとますます貴重な晴れ間でした。
 こんな日は各地のアクティブレンジャーもみんな外で仕事してるんだろうな~なんて想像していました。冬でもアクティブ!それがアクティブレンジャーですもんね?



 さて・・・私たちの日常において相手によって対応の仕方を変えたり、相手に合わせた行動をとる事は、時に必然で、時に無用であったり、また時に求められ、時に敬遠されるなどその場面場面に応じてどのように振る舞うべきか難しいこともありますが、こうした対応は社会的動物と言われる私たち人間だけがとる行動かと思いきや、自然界でもごく日常的に行われている行動のようです。

 例えば、オオタカが近くにやってきた時、カモ達は警戒するけどハクチョウ達はほとんど気にしていなかったり・・なんて事がよくありますよね?これは単純に体の大きさから生まれる違いなのかな?なんて思っていましたが、最近は、きちんと相手を知った上での行動なんだと思うようになりました。今日の日記はそんな一例を。
 

 南の池沿いの桜の木に【トビ】が止まっていました。何処ででも見られるありふれた光景です。大潟草原鳥獣保護区ではこれが【トビ】ではなく、ノスリであっても、ケアシノスリであっても、オオタカであっても、オジロワシであっても驚くことはありませんが、背景の池の様子と合わせて見ると、【トビ】だからこその光景になるんです。


 全く水平の撮れていない写真で恐縮です。先ほどの【トビ】が止まっている桜の木はこのようなロケーションに立っています。後ろに見えるのは南の池です。水面に【カルガモ】の姿が見えるかと思います。その周囲にはコガモ、マガモなど合わせて500羽ほどのカモ達が居ます。

 この木に猛禽類が止まっている姿を時々見かけます。私が見たことがあるのは、ノスリ、オオタカ、チュウヒ、オジロワシ、チョウゲンボウ、ハヤブサなどですがこの時、南の池にいるカモ達の対応にはハッキリとした違いを見ることが出来ます。特に警戒するのがオオタカとハヤブサがいる時、次いでオジロワシでしょうか。この3種が止まっている時は『カモが全部逃げたか?』と思うほどに身を潜めています。ノスリやチュウヒが止まっている時は『これが安全圏か?』と思うような距離をとっているようです。そして【トビ】の時、カモ達は全く警戒していません。いつもの場所でいつものように過ごす様子が観察できます。
 これって・・・相手の攻撃力によって自分たちの危険度を的確に量っていると言うことですよね。オオタカやハヤブサ、オジロワシは危険度マックス!!チュウヒ、ノスリは要警戒。【トビ】はノーマークで大丈夫。


 カモ達は識別が難しいとされる猛禽類をしっかりと識別した上で、自分がとるべき行動を見極めているようです。そしてよく見ると【トビ】もカモ達の方は見ていませんね。きっと【トビ】からしても水辺の上で過ごすカモ達は『獲物』では無いのでしょう。。
 野鳥たちは相手を見て的確に行動し、そして自分の身の程をわきまえて的確に行動していると言えそうです。