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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

冬のスズメ

2011年12月13日
秋田
 12月は「地球温暖化防止月間」です。今年の夏は『節電の夏』となり全国各地で様々な取り組みが行われ。皆さんも様々な工夫で暑い夏を乗り切った事と思います。当事務所でも私自身も様々な工夫をしてきたところですが、冬になってちょっとその意識も薄れてきてはいませんか?うちの事務所でもまだまだ工夫できそうなんですけどね・・・・・。もっと改善出来ることが無いか?見直していかないと!!




 唐突ではありますが・・・小鳥の頭部を線画したものを差し出されて『スズメの模様を書き入れてください』と言われたらあなたは迷わずに描くことが出来ますか?
 私も試しにやってみましたが・・・・頭の茶色を描いて耳羽あたりの黒い斑点を描いて・・・あれ?なんか黒いところが足りないような・・・う~~ん・・とお粗末な結果に。。


 またまた唐突な話の展開ではありますが・・・野鳥に関する見識が少ないことを表現する際に『スズメとカラスくらいしか知らない・・』なんてフレーズを聴いたことはあるでしょうか?私はこれまで何度も耳にした記憶がありますし、以前は私自身も使っていた気がします。
 しかし!!!野鳥に興味を持って色々と知れば知るほど、実は身近な野鳥のこともよく知らないことが多い事に気がつきます。謙遜して先ほどのフレーズをお使いになる方もいらっしゃるので一概には言えませんが『スズメとカラスくらい・・』なんて口にする事に抵抗を感じる今日この頃です。


 今日の日記はそんな事を思うようになったきっかけの観察からお伝えします。

 冬になると【スズメ】達は群れを作って行動しています。あまりの素早さになかなかカウントまでは及びませんが、群れだって飛ぶ姿に昔読んだとある絵本を思い出します(この絵本の主人公は魚です。ピンときた方もいらっしゃいますかね^^)。。たくさんの【スズメ】が密集して一つの大きな生き物のようにして飛ぶ姿に彼らなりの戦略を見る思いがしますが、【スズメ】の群れは巡視中の車の近くに止まってその愛くるしい姿を見せてくれるときがあります。こうした機会に双眼鏡で【スズメ】を観察した時、ふと気がついたことがあります。


 群れになって行動している【スズメ】です。田んぼで餌を採り、猛禽姿を見つけるとヨシ原に逃げ込み身を隠します。時には私の存在「盾」として利用し猛禽から逃れているような気がします。


 そんな時、普段は忙しく動き回る【スズメ】達も動きを止めてじっくりと観察に付き合ってくれます。そこで・・・『あれ?【スズメ】達、嘴の根元が黄色っぽい・・・』ということに気がつきました。
 普段の調査時も【スズメ】は群れで行動しているから目立ちますし、姿を確認するのも容易ですし、鳴き声でも判断可能ですからわざわざ双眼鏡を使わなくても『あっ【スズメ】がいた!』とフィールドノートに書き込むのが常になっていたので細かな点の観察を怠っていました。


 図鑑で改めて調べてみるとちゃんとこのことが記載されています。冬になると嘴の根元部分が黄色っぽくなると言うのは広く知られている事実でした。念のため自分で撮影した真夏の【スズメ】の写真も見てみると嘴は根元まで真っ黒でした。繁殖期の【スズメ】の嘴には若干黄色い部分が見える個体も居ました。
 私たち最も身近な野鳥で、大潟草原鳥獣保護区での観察機会も年間を通じて(多分)100%で、いつも見ている【スズメ】の事を知った気になっていましたが実はこんな変化に気がついていなかったという事実。。

 『スズメとカラスくらい・・』どころか『スズメのこともよく分かっていない』事を思い知ったこの時の観察。季節によって行動にも変化が現れ、外見にも変化が現れている【スズメ】達。もっともっとよく見るといろいろな発見があるかも知れません。「知ったつもり」「知ってるつもり」って怖いですね・・・。