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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

この個体を目印に

2011年11月10日
秋田
 これまで数日、冬が足踏みしてこの時期としては暖かい日が続いたからでしょうか?今日の「平年並み」の気温でも随分と涼しく(寒く)感じました。いよいよ週間予報に「雪マーク」が見られるようになりました。


 
 いよいよ大潟でも『雁の季節』到来です。まだ定着とまではいかないようですが、それでもまとまった数が田んぼで採餌する様子が観察できるようになってきました。
 これまでに確認できたのはマガンとヒシクイ(オオヒシクイが主体)と【シジュウカラガン】です。今日はその【シジュウカラガン】の群れで見つけた特徴のある個体を取り上げてみました。


 実は・・広い広い水田地帯の中からガンを探すのはなかなか難しいのです。『あんな大きな鳥が見つけられないのか?』と思う方もあるかも知れません。大潟村に来られた方はご存じだと思いますが・・平坦な干拓地に延々と続く広い田んぼの中に茶色いガンを見つけるのは結構難易度の高い事です。

 この日は運良くコハクチョウの群れの中に【シジュウカラガン】を見つけることが出来ました。これはラッキーと言っていいでしょう!!今期の初観察がこんな好条件だったのでじっくりと観察しました。


 久しぶりの対面を懐かしむように、身体の大きさ、色合い、頭の形、嘴から額へのラインなどなどを一羽一羽チェックしながら見ていました。


 すると、他の個体とは色合い等が異なる個体を見つけました。



 中央に写っている個体がそれです。特に頬の白い羽のラインと範囲が違うんです。
 

 トリミングしてみました。運良く左右両方の横顔が撮影できたので合わせて掲載してみました。

 先ずは上の写真にのみ記した「黄色い矢印」ですが、こちらはかなり微妙な特徴です。【シジュウカラガン】に見られる白い首輪のようなラインが前側にごくごく僅かに見られるだけで、姿勢によっては全くないようにも見えます。これは観察する条件によって異なるので、軽く頭に入れておいていただいて・・・
 続いて上下についている「赤い矢印」にご注目ください。他の個体と比べて白と黒の境目が曖昧で、他の個体では滑らかなカーブを描くラインも不整です。
 もう一つ、これもまた上下についている「ピンクの矢印」にご注目してください。他の個体は頬の白い模様が下嘴側へと続いているのにこの個体は頬の部分で途切れていて下嘴側までは到達していません。

 更には首から上の黒い羽も他の個体のような真っ黒ではなく、光沢がない暗褐色をしています。晴天時に他の個体を比較するとその特徴もよく分かると思います。



 【シジュウカラガン】のみならず他のガン達も越冬のために日本にやってきてからも天候や採餌地の状況などによって随時移動します。私たちの感覚ではちょっと離れていると感じる新潟県や宮城県とを頻繁に行き来することも珍しくはありません。また大潟村周辺であっても何処に行って餌を採るのか分かりません。
 そこで!!この個体に注目してみてはいかがでしょうか??【シジュウカラガン】を見たらこの個体がいるかいないか?チェックしてもらって、もし確認できたならばその情報を共有して時系列で行動を知ることが出来るのではないでしょうか?

 例えば・・・○月○日までは小友沼を塒として使い、日中は大潟村の○区で採餌していた。その後○○県へ移動して○月○日まで滞在。なんて詳細な行動が判明するかも知れませんよ。