東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

キツツキの食痕

2011年10月27日
秋田
 10月も残り数日。森吉山野生鳥獣センターが冬季閉鎖期間に入るもあと数日後。そこで出会う方々に『もう今年は会えないかもしれないから・・・』なんて台詞とともに挨拶をされ寂しさを感じている今日この頃です。 


 森吉山麓高原一帯の紅葉ピークが過ぎて、駐車場も空きが目立ち始め、訪れる方も減ってきました。数日前にあれほど賑わっていたのに・・・と寂しさに輪がかかってきた気がします。

 その反面、森に生息する野生動物達からしてみたら、各所に常に人がいる落ち着かない日々が終わって本来の生活が出来るようになってきたのかもしれません。
 先日の巡視では歩道に倒れた真新しい倒木に、これまた真新しいキツツキの食痕を見つけました。


 伸びる歩道をふさぐように倒れていた木に、早速キツツキが食事にやってきたようです。食痕の下には爪痕らしき傷も見えます。


 穴の入り口にカメラを添えてマクロで撮影してみました。嘴の先端が達するあたりでは同じ木であるにもかかわらず材質が異なるように見えます。周囲は脆くなっていますが中心部分は堅さを感じます。このあたりに餌となる虫が潜んでいたのでしょうか??


 サイズが分かりやすいように、ボールペンを差し込んでみました。およそ14cmのボールペンが半分以上、穴の中へと消えていきます。


 ここで気になるのが、『ここで食事をしたキツツキは誰?』かと言うこと。どうやら全身が黒いキツツキと日本産で最小のキツツキは候補から外して良さそうです。残る可能性は白と黒の縞模様のあるキツツキ2種と黄緑色のキツツキですが、爪痕から食痕までの距離などから想定してみて「アカゲラ」の可能性が最も高いと思うのですが真相はどうなんでしょうか??


 人気の無くなった森の中では、野生鳥獣達がこのように歩道など普段は人間が利用する場所も使って生活しているようです。このほかにも食痕や熊棚、様々な足跡や排泄物などフィールドサインがいっぱいでした。これまで見落としていた動物たちの息づかいを感じることが出来ます。


 落ち葉の絨毯を踏みしめて、明るく見通しの利く森を散策するこの季節だけの楽しみです。もしかしたら驚くような出会いが待っているかもしれませんよ^^