東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

「鷲づかみ」ならぬ「隼づかみ」

2011年10月20日
秋田
 季節の変わり目には体調を崩される方が多くなります。最近、風邪を引いている方が増えているようですね。朝晩の気温差が大きく体調管理が難しくなってきましたからね・・・。
 そんなことも影響しているのでしょうか?週末に予定している自然観察会をキャンセルされる方が出ました。なので3名ほど定員に余裕ができてしまいました。この日記をご覧になっている方で参加を希望される方がいらっしゃいましたら当事務所までご連絡いただければ、と思います。



 先日、大潟村内の「猛禽類の観察場所」として定評のある場所でホバリングを繰り返す【チョウゲンボウ】を見つけました。その個体は私がいるのに気がついていなかったのか?盛んに場所を移動しながらホバリングを繰り返していました。

 すると・・・地面めがけて急降下!!地面すれすれで場所を調整する動きを見せながら見事にネズミの捕獲に成功しました!捕まえたネズミを持って表示板の上にやってきました。

 そこで私を見つけ、びっくりしたのでしょうか?すぐに飛び去ってしまいました。その時、運良くカメラを向けていたのですが、思いがけず興味深いシーンが撮影できました。




 こちらが飛び去る【チョウゲンボウ】の後ろ姿です。今そこで捕まえてきたばかりのネズミがしっかりと持たれています。一緒に枯れ草が絡まっているあたりが生々しいですよね?


 上の写真を見ていて『ん?』と思ったのでトリミングしてみました。
 【チョウゲンボウ】がネズミを保定している趾の使い方に注目してみてください。

 猛禽類が獲物を捕まえてそれを掴む時、趾をいっぱいに広げて上から”むんず”と荒々しく掴む文字通り『鷲づかみ』をするものだと思っていましたが、この【チョウゲンボウ】は趾でネズミを抱え上げるようにして運んでいます。その後、連写してみてみやはりネズミの身体の下に趾を入れて、さらに横にも趾を添えて掴むというよりは抱え上げるといった方がいいような持ち方をしていました。


 この時点ですでにネズミは息絶えていたようです。それを運ぶのも【チョウゲンボウ】の能力からして無理をしているようにも感じませんでした。
 私の中では、猛禽類が獲物を持つときは上から押さえつけるようにして荒々しく掴むものだとばかり思っていましたが決してその方法ばかりではないようです。
 
 自分で何かを持ち上げるときの事を考えると上から掴みあげるよりも下から抱え上げるようにして運んだ方が楽なように感じます。野生に生きる彼らは最も効率的な方法を選択しながら生活していることを考えると、このような趾の使い方が猛禽類にとっても一般的なのかもしれません。

 これを見た後、他の種類がどのような趾の使い方をしているのか?注目してみたいと思うようになりました。またいつかこのようなシーンが観察できたらご報告しますね。