東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

遡上できたか?

2011年10月19日
秋田
 1年で一番賑やかな季節を迎えた森吉は、ここ数日晴天に恵まれ皆さん思い思いの活動が出来ているようです。そんな時は会話も弾みますから色々なお話が聞けて楽しい時間を過ごすことが出来ています。
 
 

 はいでは、いつものように”観察”の話。今日はこの時期になると思いもやらない場所でじっくりと観察が出来るようになる渓谷に棲む魚の話です。
 森吉山麓一帯は渓流釣りも盛んで解禁期間には多くの釣り人がやってきます。現在は禁漁期間となっている為、釣り人の姿は見かけませんが、反面【イワナ】の姿はとっても見やすくなっています。


 渓流釣りが出来る期間は概ね渓流魚の繁殖に配慮して設定されているそうです。9月の中盤を過ぎると『何でこんな場所に?』と思うほど浅くて、狭くて、水量の少ない場所に姿を現すようになります。その様な場所に向かう目的は『産卵』なのだそうです。

 今年も、上流部や枝沢では背中が水から出ているんじゃないか?って場所や、単なる水溜まりのような場所などでも見かけていました。


 しかし!今年はちょっと気になることがあって・・・


 ここはとある渓谷の枝沢です。ナメの沢イッパイに流木が詰まっているのがお分かりいただけるかと思います。


 別の場所では流木の他、細かな枝や砂なども堆積してダムを形成しています。


 と、この様に9月下旬以降、流木や土砂が堆積したダムが上流部や枝沢の至る所に出来ていて、【イワナ】の遡上を阻んでいるようです。もしこの状況下で繁殖地までたどり着けない個体がたくさんいたら・・・なんて心配をしてしまいます。


 と、魚の心配ばかりしているようですが沢がこの様な状況ですから一度強い雨が降ると一気に危険な状況なることが予想されます。人気の桃洞滝までや赤水渓谷の本流にはこの様な状況は見られませんが、その上流や枝沢では各所でこの様な事態になっています。
 今、自分が居る場所は安全でもその上流にはどんな危険があるか解りません。野外での活動はそこに潜むリスクを考慮して、より安全な活動になるように努めなければなりません。渓谷等でハイキング等をする際には、上流の状況なども考慮して、様々な想定を行ってリスクマネジメントをしていただくようお願いいたします。