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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

自らやってきた虫

2011年08月29日
秋田
 スッキリした晴天の秋田市内ですが最高気温が30度を下回ったようです。あの猛烈な暑さは広がる秋の気配に圧されてきているようですね。もうすぐ8月も終わりますが節電の夏はまだ続きますのでこうして過ごしやすくなるのは大歓迎ですね!


 森吉では夏の間、猛烈なヤブ蚊に悩まされていましたがその勢力も徐々に弱まっているようです(まだまだ充分な対策は欠かせませんが・・・)。
 耳元を飛ぶヤブ蚊や自分の周りを飛び回るアブなどはかなり鬱陶しく感じるものです。そんな時、『寄ってくるのはこんな虫だけだ・・』と自虐的なことを言う方もいますが、時には寄ってこられても鬱陶しくは感じない虫もいますよね?ここ数回の巡視でそんな事がありましたのでちょっと取り上げてみました。

 
 渓谷のコースを巡視していたときのこと。沢の中をジャブジャブ進んでいた時、ふと足下で何かが動いているのが眼に入りました。


 【エゾゼミ】でした。セミが泳ぐはずはないので、何かのアクシデントで流されていたのでしょう。藁をも掴むような状況の時、私が歩いてきたので必死の思いでしがみついていたようです。
 時期も時期なので、寿命が近い個体かな?とも思いましたがまだまだ元気ですし、羽の根元部分は羽化した時のような色合いでした。やっぱりアクシデントだったのかもしれませんね。この後、近くの樹まで連れて行って解放しました。

 森吉山麓では春先のエゾハルゼミから夏になって【エゾゼミ】、コエゾゼミに主役が交代していました。その彼らも間もなくそっと姿を消す時期がやってきます。この【エゾゼミ】は自分の子孫を残すことが出来たでしょうか?



 変わって・・・
 開会式を行っている時、私のザックにファーーーと1匹のクワガタがやって来ました。


 この後、暫くすると私にも出番がやってきます。でも折角飛んできてくれたこの【クワガタ】をじっくり見たい。。そんな葛藤の中での観察でした(←て言うか・・ちゃんと開会式に集中しなくちゃダメですよね。)。

 先ずはクワガタの最大の特徴を観察します。「ふむふむ・・湾曲していて、内歯の形状は・・」とチェックしていたのですがそろそろ時間です。その場に放置したまま本来の業務について大過なく終えて再度クワガタを探しましたが既に何処かへ飛んでいってしまってました。安全な産卵場所でも探していたのでしょうか?

 後に写真をチェックして、その特徴から【ミヤマクワガタ】のメス♀だと思います。どういう訳か・・私が森吉で見かけるのはメス♀のクワガタが圧倒的に多いです。しっかりと探せばオス♂も見つかるのですが偶然見かけるのはほぼメス♀です。クワガタには雌雄で行動の違いがあるのでしょうか?


 探すとなかなか見つからないし、ましてや手に取って観察する機会はそれほど多くはありませんが、たまにはこうした偶然訪れて楽しい観察に繋がることもあります。皆さんもこんな経験したことありませんか?