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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

タイミングが・・

2011年06月21日
秋田
 今日の秋田市内は午前中から雨が降りだし、時々雷を伴って激しく降りました。暑い日が続いていた秋田県内では久しぶりの雨だったので、農家の皆さんにとっては待望の雨だったかも知れませんね。
 そして秋田県を含む『東北が梅雨入りしたと見られる』とのことです。いつもの年よりはちょっと遅めの梅雨入りだそうですが、これから暫くジメジメした日が続くかと思うと・・・それが当たり前と解ってはいても憂鬱ですよね。




 このところ、山を歩いて巡視していると足下に”白い大きな花びら”が落ちているのに気がつきます。よく見ると白に混じって”茶色いもの”もあります。そう!【ホオノキ】が花を咲かせています。
 【ホオノキ】は高木に育つ種で、その花も枝先にある為、森の中を歩いていても花の観察はしにくく、下から見上げたのでは様子もよくわかりません。そこで渓谷沿いなどの斜面で見やすい位置にある花を観察しようとするのですが・・・なかなかタイミングが合わないんです。


 今から何年前の話になるでしょうか・・・ある先輩から『【ホオノキ】って性転換する樹なんだぞ!』と言われました。当時の私は何のことかさっぱり解らずに『え?どういう事ですか?』と聞き返しました。すると・・・その先輩は詳しく教えてくれました。その時の解説を要約すると・・・『【ホオノキ】が初め咲いた時は雌花の状態で、一度閉じてもう一度咲いたら今度は雄花の状態になる・・・』と言うものでした。今思えばとってもざっくりした解説で、しかも随分と端折った説明であることが解りますが、当時の私には衝撃的な話に聞こえ、以後今日まで耳に残っています。

 もう少し詳しく言うと・・・【ホオノキ】は開花した日には「めしべ」が開いて受粉可能な状態となる。その花は一度閉じて、再度開花した時には「おしべ」が開いて花粉を出す状態となる。そしてもう一度花が閉じて、次に咲いたときには「おしべ」が脱落して、やがて集合果となる部分を残し、花の命を終えていく(この説明も随分とざっくりしてますが・・・^^)。つまり【ホオノキ】の花の美しい場面を観察する機会はかなり貴重であると言えるのです。


 数年前に先輩から解説を聞いて、自分でも調べてみて何となく知ったようなつもりになってみても、なかなか実際に観察する機会がないまま今日まで過ごしてしまいました・・・。毎年毎年『今年こそは!!』と思いながらも果たせずにいます。


 決して早い時間ではないのですが・・・この日は天気が悪かったんでしょうかね?閉じてしまっています。


 こちらはもう少しで咲くのかな?と思って、あるコースを行く時に帰りには咲いているだろうと思ったのにやはりこの状態のままでした。


 同じ樹にも花びらが開いているものがいくつかあるのですが、こちらは既に「おしべ」が脱落してしまっているようでした・・・。


 梅雨入り前の晴天が続いている時に、2日続けて同じ樹を観察できればもしかしたら両性花をそれぞれ観察できるかも知れませんが、東北は今日梅雨入りしました・・・。
 「めしべ」が開いている雌花、「おしべ」が開いている雄花、う~~ん見てみたい!!皆さんは見たことありますか??

 まさか・・・【ホオノキ】の花を見たことがあると思っていたのに実は、この記事の3枚目の花と同じ状態ばかり!なんて事はないですか??チャンスはかなり少ないですからね・・・天気やタイミングも重要ですし!!