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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

観察会を実施していて思うこと

2011年06月14日
秋田
 昨日は、日曜日に実施した自然観察会の実施報告をしました。この観察会でもそうでしたが、これまで実施してきた森吉での自然観察会でも大潟での野鳥観察会でも、普段あまり見つからないような生きもの、昨日まで居なかったはずの生きものが見つかることがよくあります。
 例を挙げると、5月の大潟での野鳥観察会ではこの時、今季初のシマアジを観察することが出来ました。見つかった場所は普段から管理員さんも私も巡視・調査している場所なので見落としとは思えないのですが・・・それでも確かに昨日まで見つかっていなかった種が見つかりました。
 そんな事が先日の桃洞滝コースで実施した自然観察会でもありましたので今日はその話をしようと思います。



 【エゾハルゼミ】です。セミと言えば木の幹で大音量の鳴き声を上げている様子を思い浮かべる方も多いかと思いますが、実際には足下の草の上で音も出さずに静かに過ごしている個体も結構見つかります。
 この日は足下に咲いている花々を観察していたとは言え、沢山の【エゾハルゼミ】を観察することが出来ました。雌雄の違いや、胸や腹の動きなどじっくりと観察しました。



 【ヤマアカガエル】と【クロサンショウウオ】が卵を産み落とした池では沢山のオタマジャクシ達がいました。
 その中から【クロサンショウウオ】の幼生を探すのはなかなか大変な作業なのですが、この時は参加された方が『あそこにちょっと違うのがいない?』と短時間で見つけてくれました。せっかくなので、幼生とオタマジャクシには悪いことをしましたが、ちょっと小さな器の中に移ってもらってじっくり観察させてもらいました。
 ちなみに大きくて黒いのが【ヤマアカガエル】(だと思います・・)のオタマジャクシで小さくて褐色で足があって前足の付け根に平衡桿(へいこうかん)があるのが【クロサンショウウオ】の幼生です。



 包接する【モリアオガエル】です。太陽が照りつける日中にこの様に産卵準備をしている【モリアオガエル】を見ることは稀だと思うのですが・・・恐らくこのペアは全参加者&スタッフが観察したことと思います。しかも背後にはこれから始まる産卵時に自分も参加しようと目論んでいるらしきオス♂個体もいました。
 このペア達はプライバシーを覗かれて嫌な思いをしたかも知れませんが参加者は大喜びだったようです。



 ブナの幹に止まっていた【イボタガ】です。私もお目にかかるのは2度目。こんな見やすい位置で見たのは初めてでした。
 森吉山野生鳥獣センターに【イボタガ】の写真を展示してあるのですが、『こんなのよく見つけるよね?』っていう声を耳にすることもあります。正面から見るともっと実感できるのですがそれは参加された方々の特権と言うことで^^
 中には、ブナの幹に止まる【イボタガ】のあまりに見事な擬態に直ぐ近くで見ているのに『えっ?どこ?何処にいるの?』と至近距離まで顔を近づける人もいましたので、見慣れない方には、本当に見つけにくいんだろうなと思います。



 この様に・・普段は見つけるのに時間が掛かるものであったり、なかなか見つけにくいものであったり、滅多に逢えない生きものと逢うことが出来たりと観察会で眼の数が増えていることによって出会いが増えることを私は観察会効果だと思っています。
 この効果を生み出すのは、講師が普段以上に注意を払って辺りを見ていることと、参加されている方々が様々な興味の元に津々と見つめているので普段とは違う沢山の視点だと思います。これが相まって貴重な出会いが生まれているのだと感じています。


 この後も森吉山野生鳥獣センター運営協議会主催の観察会がありますし、各地で同様の観察会が開催されます。皆様も参加されてみてはいかがでしょうか??