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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

忘れないうちにやってくる

2011年03月29日
秋田

 【オオジュリン】は大潟にいると年間を通じて観察することが出来ます。つい先日まで越冬していた【オオジュリン】達は北へと渡っていったかも知れませんが、今は頭が黒くなりかけているゴマ塩状態の【オオジュリン】達がたくさん観察できます。渡りの途中なんでしょうね。
 いつも各シーズンの初めには、観察の時間が空いてしまった野鳥の鳴き声にアタフタするのですが【オオジュリン】の場合は地鳴きから囀りに変わり始めた”越冬個体群”が去った後に、直ぐ”渡りの群れ”がやってくるのでその囀り声を忘れないうちにやって来てくれるとても観察しやすい(?)野鳥です。今年もたくさんやってきています。




『忘れないうちにやってくる』





 ここに2010年3月1日の秋田魁新聞があります。1年ちょっと前の新聞は、バンクーバーオリンピックでの日本人選手の活躍を押さえて、同年2月27日の南米のチリで発生した巨大地震の影響で日本の太平洋岸各地に津波が到達し、三陸の33市町村に避難指示が出されたことを1面トップで伝えています。きっと皆さんの記憶にもまだ新しいことと思います。
 よく、「震災は忘れた頃にやってくる」と言いますが、今回の津波の被災地にはそれは当てはまらないと思います。1年前にこうして地球の裏側から津波が押し寄せて被害を受けていて、更には今回の地震の前震とされる地震の時にも津波が観測されています。この地域一帯では各地で避難訓練等も行われていました。恐らくは世界中で最も津波に対する警戒心が強く、危機感を持っていた地域であったと思われます。

 今も余震が続いています。普段であればその一つ一つが報道されるような規模の大きな地震が「余震」として扱われています。被災地にいる方々はそんな事は無いのですが、その周辺にいる私たちは、経験した本震があまりに大きかったことと、あまりに頻繁に余震が発生しているので、ややもすると警戒心が薄れているように思えてなりません。実際に私の周囲にもその様な事を言う方がいます。
 いくら警戒しても、備えをしていても完璧と言うことはありません。今回の地震は決して忘れることは出来ませんが、徐々に薄れていく記憶や、警戒心こそが危険信号のような気がします!!!