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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

田んぼだけじゃない

2011年03月04日
秋田
 2日、秋田から離れていく車中、どんどん春めいていく景色を楽しみながら目的地へと向い・・・3日、今度は一気に真冬に逆戻りしたような秋田に戻ってきました。この「寒の戻り」はあまりにも激しく、寒さが応えます。



 はい。ということで3日ぶりの日記です。
 どうやら宮城県内でのガンの越冬は、ほぼ終了のようです。ガンの本隊は今、秋田県内にいます。大潟村やその周辺では広範囲に分散しているにも関わらず見応え充分な規模の群れがあちらこちらで見られています。宮城県などで越冬していた【マガン】達も新潟県などで越冬していた【ヒシクイ】達も一緒になって過ごしているのです。1年のうち僅か数週間だけの超贅沢な光景です。

 今日はガン達が過ごしている環境のうち、「田んぼ」以外で過ごしている群れにスポットを当ててみました。


 先ずは『牧草地』です。直線で1㎞を越える道路の先には大きなガンの群れが観られます。主体は【ヒシクイ】で中でも【亜種オオヒシクイ】が多いようです。
 周りの冬枯れの光景の中にあってこの牧草地は緑が見られ、それが残雪と青ぞたと相まってガン達の姿を浮かび上がらせ、何とも言えない美しさです。と言いながら写真はコンデジでのモノなので少々解りづらいかも知れませんが・・



 もう一つは『大豆畑』です。どういう事情かは分かりませんがこの大豆畑は刈り取られずに残ったままで今期の積雪にも負けず茎が立ったままになっています。その中に【マガン】の群れがいました。
 伏せたまま過ごしている個体が多かったので気付くのが遅れて接近してしまいました。ここで【マガン】達が採餌をしていたのか?休憩をしていたのか?見ることが出来ませんでした。
 でもどうにか・・・警戒を解いてくれるまで待とうかと思ったのですが・・・


 やっぱり距離が近すぎたようです。撮影したのも良くなかったのかも知れません・・・。



 この他にも承水路で過ごす【ヒシクイ】等も見られます。
 水面や氷上の塒から餌を食べるために出かけていく先は田んぼだけに限ったことではありません。青い牧草を食む為に牧草地へ行き、畑の作物の取りこぼし(?)を食べるために畑へ行き、水辺の植物を食べるために水路に残ったり移動したりする群れがいるようです。


 ただし!!今日紹介した牧草地と畑で過ごすガン達の観察には注意が必要です。田んぼよりも見通しの利く平坦な牧草地では遙か遠くにいても私たちの存在に気付くと警戒します。1枚目の写真のように【マガン】なのか?【ヒシクイ】なのか?確かめるのも厳しい距離でも警戒されています。もしかしたらガンであることすら気がつかない方もあるかも知れません。逆に作物の茎の残っている畑ではブラインド効果が高くて離れた場所からはガンの存在を認識できないまま接近してしまいがちです(←私がそうでした・・)。

 此処にいるガン達は間もなく海を渡って北海道などへと移動していきます。今はその為に体力をつけなければなりません!!食事の邪魔は彼らの命を脅かすことにも繋がります。それを踏まえて・・観察する場合には温かいご配慮をお願いいたします。