東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

シジュウカラガンの白い羽

2011年02月22日
秋田
 事務所を出た途端に上空からマガンの鳴き声。見上げた空に鍵になって飛ぶ50羽ほどのマガンが見えました。秋田県内は昼夜を問わず上空からガンやハクチョウの鳴き声が聞かれます。



 はい。と言うわけで・・・今日の日記はガンの話題でいきましょう。

 『顔と頸は黒く、頬から喉にかけてと首の付け根部分は白い・・』
 これはいくつかの図鑑に書かれている【シジュウカラガン】についての記述のうち、頭部から頸部にかけての羽の色を説明したものの要旨です。

 普段、フィールドでは小柄で、全体的に黒い印象を受けるガンを見つけると確認のためにこの要旨にある”白い”部分を確認します。そして全体を見ていくつかの特長を認めてから【シジュウカラガン】だと識別していますが・・・先ほど書いた要旨のうち『・・・頬から喉にかけて・・・』の喉の部分だけはしっかりと確認したことがなかったので先日、大潟に戻ってきたばかりの【シジュウカラガン】を観察してチェックして来ました。

 この時は保護区に隣接する田んぼに6羽の【シジュウカラガン】がいました。それぞれ雪が溶けた田んぼで採餌していました。
 しばらく観察していると、6羽の集団が採餌しながら私から離れていきました。その時、【シジュウカラガン】の短い足の間から下嘴の付け根部分というか、喉の部分と言ったらいいのか解りませんが、私が確認したいと思っていた場所が見えました。

 この時、6羽全てについて気になる部分の観察&撮影が出来たのですが正直驚きました!!!先ずは4枚の写真をご覧下さい。
 

タイプ①:図鑑などの要旨のように『頬から喉にかけて白い」と言える個体。このタイプは6羽中1羽。よく見ると左右の頬から繋がる白い部分が完全に繋がってはいないが概ね繋がっているようです。


 タイプ②:左右の頬から続く白い部分が辛うじて繋がっているように見える個体。このタイプは6羽中2羽。白い羽が薄くグラデーションのようになりながら一部繋がっているようです。


 タイプ③:タイプ②よりも中央部分に黒い羽がハッキリしている。つまり黒いラインが明瞭に確認できるので白い部分は繋がってはいないようです。このタイプは6羽中1羽。


 タイプ④:明らかに頬の白い羽は喉まで連続してはいない。このタイプは6羽中2羽。此処まで来ると図鑑などの要旨と実際が異なる事は明白である。


 この時の観察は6羽という少ないサンプルであったにも関わらず4つのタイプが確認できました。ちなみに頬の白い部分の形もそれぞれ微妙に形が異なって見えたが角度の問題などもあるので断言は出来ません。その他の頭の形や嘴の付き方や長さ、首の付け根の白い輪状の羽などはいずれも【シジュウカラガン】の特長を有していたことを付け加えておきます。

 首の付け根の白い輪状の羽もその色合いや幅など個体差が大きいので、この喉元の部分についても個体差と言えるのでしょうか?それとも性差や年齢差などが現れているのでしょうか?いずれにしても今回の観察では図鑑などの要旨とは異なる事実が存在することが分かりました。




 これで益々【シジュウカラガン】に対する興味が深まりました。喉と首の付け根の白い部分の組み合わせなどで個体識別が可能だったりして・・・なんて思ってみたり^^


<追記>
 この事例について詳しい事をご存じ方がいらっしゃいましたらご指導いただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。