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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

松の実を食いちぎるマヒワ と・・・

2011年01月31日
秋田
 今期は冬鳥が”当たり年”と言われているようですね?各地から普段あまりお目にかかれない野鳥の観察報告が聞かれますし、大潟やその周辺でも貴重な観察情報が多数聞かれていました。そして勿論そんな珍しい(?)話ばかりではなく大きな群れが観察できたり、あちらこちらで観察できたりと機会そのものも多くなっています。
 実は大潟で巡視をしていて冬の初めの頃にはそんな実感が全くありませんでした。各地から聞かれる情報に羨ましさなんかも感じながら過ごしていましたが今はそんな思いはすっかりと無くなり冬鳥達の観察を楽しみながら仕事が出来ています。

 このところこの日記で連日取り上げている小鳥たちも群れで観察できる野鳥達ですが今日は一際大きな群れが観られる【マヒワ】を取り上げました。

 大潟村でよく【マヒワ】を見かけるのは松林で、松の樹から樹へと忙しく群れで移動しながら餌を食べている様子が観察できています。
 中でも特に松ぼっくりのある場所ではたくさんの個体を見ることが出来ます。彼らの身体は随分と軽いようで、松の枝に捕まるのではなくあの針のような葉を何本か束ねるようにして捕まりながら餌を食べていました。
 

 松ぼっくりの中から種の入った部分を抜き取りました。この不安定な足場でよくぞこの部分だけを引き千切ったものです。
 このプロペラの羽の様なものに種が入っているのですが、彼らにとって大部分は余分なものなので羽の根元以外をどうにかして仕分けする必要があります。「どうやって種子の部分だけを食べるのかな?」と興味を持って観察していました。


 すると・・・嘴から落下していくプロペラ(の羽のようなモノ)が見えました。どうやら嘴で食いちぎるようにして実だけを食べられるようにしたようです。落下していくプロペラを(写真を拡大して)見ると根元が裂けるようになっているのが解りました。

 ”食いちぎる”と書きましたが彼らには歯があるわけではないので、嘴を使ってプロペラを縦にしたり横にしたりしながら強度を落としていきながらちぎっていたようです。

 広く見渡すとあちこちの松ぼっくりで同じようにプロペラを咥えた個体を見つけました。忙しなく動いているようですが随分と手間のかかる食べ方をしているようです。

 何度も言うようですが・・・本当に野鳥達の食事を観察しているとその種類ごとに特徴的な食事スタイルをもっていて、その食べ方をじっくりと観察すると”お見事”としかという言葉しかありません。この【マヒワ】の食事の観察でもまた感心しきりでした。



 そうそう・・・忘れるところでした。この【マヒワ】の群れの中にたった1羽ですがこんな仲間を見つけました。


 思いっ切り枝が被っていますが・・
 全体に淡く白っぽくて、額部に真っ赤な羽があり、脇腹に細縦斑が見えました。残念ながらこの写真しか撮れずにその後見失ってしまったので、詳細を観察することが出来ませんでした。背や腰、上尾筒などもしっかりと確認できて写真があれば良かったのですが・・・仕方ありません。


 最近「むむ?」とか「あれ?」とか「なんか違和感があるな~」と思ってしまう観察が続いています。この時も「むむ・・・むむむ・・・」と思ったんですよね^^