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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

カワウの群れ

2010年11月29日
秋田
 いよいよ本格的な冬がやってきたようです。しかしこの時期北国に住む私たちでもまだ寒さに体が慣れず・・・1年で最も寒さがこたえる時期です。手がかじかみ足先が冷え・・・頬がしもやけ状態で野外で過ごすのはキツイです。



 さて、今日は西部承水路で観察した【カワウ】の群れを取り上げました。大潟ではこの時期になると決まって【カワウ】の群れが見られます。【カワウ】と言えば1年中観察可能な「留鳥」といったイメージをお持ちの方も多いかと思いますが大潟では「冬鳥」なんです。


 冬にやってくる水辺の鳥と言えばハクチョウ、ガン、カモの群れを思い浮かべますが【カワウ】の群れが水辺にいる時はそれらの群れとはちょっと異なる印象を受けます。

 例えば先日観察したミコアイサの群れではリーダーと思しき個体が潜水するとその他の個体も一斉に潜水し、水面に戻ってくる時には潜水前と同じような位置関係で居る事が多いように感じます。またハジロカイツブリの群れでは一見バラバラな行動をしているように見えて実は潜る時にはみんな一緒に潜り勝手な行動をするような個体は見られません。


 では・・・【カワウ】の群れはどうなのか?と言うと・ 


 西部承水路を北進していた【カワウ】の群れです。ハクチョウ、ガン、カモの群れはリーダーと思しき個体が居てそれが周囲を警戒しつつ採餌したり、休憩したりと群れの中での役割のようなものが見えたりもしますが、【カワウ】の群れにはそのような役割が(私には)見えません。というのは・・・


 こうして潜水をして餌を捕らえようとする個体があるかと思えば、そのまま泳ぎ続ける個体もいます。かと思えば逆方向に潜水する個体も言えば、逆方向に泳ぎ出す個体も見かけます。


 そうして群れがバラけそうになると・・・後れをとった個体達が飛んで来て群れに合流します。何ともバラバラなその動きを観察していると、好奇心旺盛な子供達があちこちで道草しながら集団登校する様子と重なり、何だか親近感を覚えます^^

 実際には群れの中に成鳥もいれば幼鳥もいるので全てが「好奇心旺盛な子供達」では無いのですが、成鳥の中にも道草を積極的にする個体もいてバラバラな感じという印象です。

 
 こうして「群れ」という視点での観察もなかなか面白いモノです。同じガンでもヒシクイとハクガンでは許容できる距離が違うようにも感じますし、同じ潜水ガモのカワアイサとミコアイサでもその行動に差違を感じることがあります。皆さんも「群れ」という視点での観察をしてみて下さい。きっとその種毎の特長のようなモノが発見できますよ。