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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ノビタキに会うと

2010年10月14日
秋田
 鳥の渡りも気になる・・・山の紅葉も気になる・・・かといって事務所での業務も疎かに出来ない。不器用な私はいよいよ身体がもう1つと言わず2つ3つ欲しいくらいになってきました。本当にこの時期は季節の移り変わりを実感できる上、自然界の動きがダイナミックなので何処で何を見るか迷ってしまいますよね?



 今日は、繁殖期に向かう春の渡りの時期に夏羽に移行しつつある姿を北へ見送り、繁殖を終えて越冬場所へ向かう秋の渡りの時期には冬羽に衣替えした姿を南へと見送る【ノビタキ】を取り上げます。

 
 【ノビタキ】は山岳地の森吉でも、沿岸の干拓地である大潟でも観察できる野鳥です。近場で【ノビタキ】を観察した情報を聞くと普段の巡視でも【ノビタキ】が現れる場所をいつもより入念に探してしまいます。そして出会うとなんだか安心します。きっと出会えなかったとしたら凄く寂しい気持ちになることでしょう。
 ちなみに、私は今期開催している東北アクティブレンジャー写真展にも【ノビタキ】の写真を選んでいますが、それほどお気に入りですし、お馴染みの存在です。


 こちら↓は大潟で撮影した【ノビタキ】です。ヨシ原やススキ原で見かける機会が多く、よく動き、よく鳴き、止まる時はヨシやススキの穂先に止まるので見つけやすい野鳥です。この日もペア(?)で承水路脇のヨシ原にその姿を見せてくれました(撮影できたのは1羽だけですけど・・・)。




 野鳥を観察するときにはその「飛び方」にも注目して観察することは皆さんも良くされていると思いますが、大潟のヨシ原で遠くから【ノビタキ】が飛んでいるのを見ると、時々「あれっ?こんなところにオオセッカ??」と思うことがあります。
 オオセッカの飛び方をご存じの方は想像しやすいかと思いますが、繁殖期のオス♂は囀り飛翔と言って囀りながら舞い上がり、直ぐに下降する独特な飛び方をします。普通、鳥が飛び時には直線的或いは波状に飛ぶのが一般的かと思いますがオオセッカの場合「山なり」の短いスパンの飛翔を断続的に繰り返します。
 
 そんな独特の飛び方をする野鳥はオオセッカくらいのものかと思いきや・・・【ノビタキ】も似たような飛び方をするときがあるのです。それほど頻繁に見せる飛び方ではありませんが、時には断続的に繰り返すこともあります。そしてそれはオス♂が行う飛び方で、メス♀がしているのは未だ見たことがありません。

 鳴き声も、羽色も、サイズも異なり、分類的にも近くはない【ノビタキ】とオオセッカが似たような飛び方を見せる事は、非常に興味深く感じていますが、【ノビタキ】の場合どんな時にその飛び方をするのかよくわかりません。渡りの途中に見せる動きなので繁殖とは関係が薄いのかな?と想像しています。
 長年、野鳥観察をしている方に聞いても、その飛び方を見たことがある方は多くないようです。


 【ノビタキ】のオオセッカのような飛び方は興味がそそられる反面見る機会は稀です。なので【ノビタキ】見る度にオオセッカを思い浮かべ、それと似た飛び方をしてくれないかと願ってしまいます。やっぱり、どうしてそんな飛び方をするのか気になりますからね。でもそんな視点で【ノビタキ】を見ているのは私だけですかね・・・?。


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