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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

体感!子どもパークレンジャー (赤石川:3日目)

2010年09月28日
白神山地
キャンプを振り返り、思い出深い出来事の一つとして大量のアブとの遭遇だったと思います。
アブは白神山地のどの川でも集ってきて、鋭く噛みついて逃げていきます。
そんなやっかい物のアブですが、最近聞いた話ではイワナ釣りの餌になるようです。実際に水面付近のアブに飛びつくイワナを見かけたという話も聞きました。
赤石川のキャンプでは、文字通り肌で感じる生態系。生物同士の繋がりを感じる体験になりました。・・・が、なるべくならアブのいない時期にキャンプはしたいものですね。

さて、今回の日記には、このキャンプの3日目の活動について報告したいと思います。
リンク前回までの記事はこちらをご覧ください(1日目)
リンク前回までの記事はこちらをご覧ください(2日目)

8月2日の朝。前日の然ヶ岳登山のおかげか、テントから出てくる勢いが前日より弱々しい朝でした。しかし、起きてしまえば元気いっぱいで、早朝から元気に遊ぶ子、昆虫を探す子、カメラで遊ぶ子など様々でした。

然ヶ岳 photo 2010.8.2

最終日はキャンプ地のある赤石川上流を離れ、イトウの養魚場や赤石水産漁業協同組合‎を訪問し、最終活動地の赤石川河口まで下りました。

イトウの養魚場では幼魚から成魚まで実際に餌を与え、食欲旺盛なイトウを目の当たりし、野生のイトウが鹿を飲み込むという話を思い出してしまいました。子ども達は、実際に出荷間近のイトウに触れる機会を頂き、イトウの大きさや荒々しさを体感しました。次に赤石水産漁業協同組合では、鰺ヶ沢周辺の漁について伺うことが出来ました。その中で、山が荒れると、海や海岸も荒れてしまうことを伺いました。
実際に海や川を仕事場として営まれる方お話を伺い、体験することで、白神山地と日本海は、赤石川で繋がっていることを学ぶ機会になりました。

海との繋がり授業@赤石川 photo 2010.8.2

最後の活動地である赤石川河口では、前日までの山の中から打って変わり、海岸での活動になりました。海岸での活動は、浜辺に打ち上げられている自然物や人工物を活用し、ストーン・ペイントとビーチコーミング行いました。ストーン・ペイントでは、思い思いの石に絵の具で好きな絵を描き、キャンプの思い出として持ち帰りました。ビーチコーミングでは、キャンプ最後の班活動として、各班の思う「家」を作ってもらいました。班ごとに個性が出て、中には(個性が強すぎ?)悪戦苦闘している班も・・・。そんな中、ちゃんと3人が入れる家を見事完成させる職人達も現れました。

ビーチコーミング@赤石川河口 photo 2010.8.2

さて、今回のキャンプは、赤石川の上流から河口域までを2泊3日のキャンプで巡ってきましたが、参加者の皆さんはどう感じられたでしょう?

・アブが大変だった。(人生であんなにアブに好かれることはないと思います。)
・初めてホタルを見ました。ホタルがあんなにきれいだと初めて知りました。(私も久しぶりのホタルでしたが、ホタルの飛翔を見る事が出来て感激です。)
・然ヶ岳への登山が大変だった。(うっそうと茂った道を歩く機会はなかなかないと思います。もちろんクマの爪痕がたくさんある山は少ないと思います。)
・マタギの吉川さんのお話が面白かった。(とても貴重な体験だと思います。クマの撃退方法や遭遇した時の話はとても面白かったですね。ただ、クマと登山道でばったりは勘弁です・・・。)
etc…..


閉会式@鰺ヶ沢町 photo 2010.8.2

いろいろな感想があったようです。みなさん貴重な経験が出来てよかったと思います。しかし、吉川さんの仰った言葉を忘れないでください。
「白神山地も昔とは大夫変わった。」
私にも分かりませんが、50年近く白神山地を見続けている吉川さんの言葉です。本当に変わってきているのでしょう。
今回は、本当に白神山地の一部の部分しか見ることが出来ませんでした。是非、5年後、10年後、20年後にもう一度赤石川を尋ねて見てください。
ブナに新しいクマの爪痕が残っていれば、白神の森は絶えず保たれているのかもしれません。

最後に、盛夏の報告が、秋押し迫る時期になって申し訳ありません。是非来年も楽しく、面白く、興味深い体験をできればと思い、今回の日記に活動報告をまとめました。
次回も、参加してくれたみんなと元気に再会出来る機会を楽しみにしています。
それでは。