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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

登山道を守る

2010年09月26日
鹿角
 9月26日の朝、八幡平から岩手山の方向を見上げると山頂付近に白い筋が何本も光っています。自然公園財団の及川さんに確認したらまちがいなく初雪
とのこと、今年もこの山域は日によっては初冬並に温度が下がる時期となったことを実感しました。

 異常天候と言われた今年、八幡平・岩手山エリアでは登山道の浸食が特に激しかったような気がします。従来では考えられなかった短時間の集中豪雨により登山道上を多量の土砂が流れ下り、深く掘れたり、危険な浮き石が出て来ています。公園管理員さんやパークボランティアさん達と危険箇所の点検修理を行っていますが、少人数ではなかなか手が回りません。

 そんな中、秋田駒ヶ岳では秋田県が呼びかけ地元の個人団体が参加して登山道の補修作業が行われました。場所はシャクナゲルートの焼森直下の火山砂礫地帯。植生が破壊された結果、浸食が進み登山者が滑って転倒する危険性が指摘されていた地点です。浸食防止と植生回復を同時に行っていくことを目的にパークボランティアが作業設計を行い、資材もボランティアファンドによって調達、当日は25名が荷揚げから補修の厳しい作業に挑みました。現場を通る登山者からの「御苦労さん」「がんばって」の声がなによりの励ましだったそうです。

 すでに「裏磐梯」や「羽黒」のアクティブレンジャーが何回もこの欄で述べているように登山道を安全に歩けるということは、そこに必ず登山道を守っている人達の存在があります。自然公園が今後もより良い状態であるために「縁の下の存在」にもっとスポットライトがあてられていいのではないかと感じた一日でした。

最大の難作業は資材荷揚げ。重いカラマツ材を持ち上げる。最後は脂汗が出てくる。

植生土のうに現場の流れた土砂を詰めて登山道を守る。

作業完成。土留め工と植生回復作業を同時に行う。後方は最高峰「男女岳」。