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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

クロサンショウウオ幼生

2010年08月12日
秋田
 今日これまでに台風の接近を実感できる変化に見舞われている秋田市内です。先ほどから雷が光り、激しい雨が降っています。降り始めからこの状況になるまであっという間でした。今日はお盆期間中の帰省ラッシュにあたるのだとか・・・各交通機関が心配になるところです。



 さて、こうした激しい雨が降るとついつい所管地の様子が気になります。特に森吉は19年度の災害以降、心配の度合いが上がっています。つい先日も桃洞滝への歩道が冠水し敷設されている木道が浮き上がってしまっているのが確認されています。
 その歩道沿いにはいくつかの池があります。その場所によって観察できる生きものが違うのでいつも巡視の時には興味を持って観察します。
 最近になって・・・一番手前の池の【クロサンショウウオ】が変態してきているのに気がつきました。

 【クロサンショウウオ】は雪まだ残る5月の中旬頃いつも決まったいくつかの池に卵塊を産み付けます。その同じ池には何種かのカエル達も卵を産み付けるため孵化した直後にはたくさんの「オタマジャクシ」が同じ池の中を及び回っているのが観察されます。【クロサンショウウオ】も孵化直後の個体は「オタマジャクシ」のような形状をしているため一見してどれがカエルなんだか?どれが【クロサンショウウオ】なんだか?解らなくなってしまいます。

 それから時間が経過していくとみんな「オタマジャクシ」に見えていた幼生達はそれぞれの特長をはっきりと見せ始めます。【クロサンショウウオ】も勿論、サンショウウオの幼生らしくなってきます。


 四肢が分化してきているのが解ります。写真が分かりにくいかも知れませんが発生直後に見られる「平衡棹」は既に消失しているようです。


 未だ外腮(がいさい:エラのように見える部位)が残っていますが姿形はだいぶサンショウウオらしくなってきています。カエルのオタマジャクシとの違いが解りますか?


 この頃になるとヤマアカガエルのオタマジャクシ達は一足早く変態し、小さな小さなヤマアカガエルとなって池から山の中へと分け入っていきます。ですから池に残っているのはほとんどが【クロサンショウウオ】の幼生。じっくりと観察するには最適です(比較が出来ないのが残念ですけど・・・)。


 
 この池・・・歩道沿いにあって観察にはもってこいの場所なんですが、直ぐ近くには沢が流れていて水位が上昇すると冠水することがあります。そうなるとようやく此処まで成長した【クロサンショウウオ】達に悲劇が訪れないとも限りません・・・先日の荒天時にはこの池が冠水する事は無かったようでしたがこの台風ではどうなってしまうことか・・・心配せずにはいられません。