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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ツツドリの下尾筒

2010年06月01日
秋田
 今週は気温が上がり夏らしい日が続いています。今日は道路上の気温表示が「20℃」となっていました。春も盛りを過ぎ夏が近いと感じさせます。


 愛鳥家の間ではカッコウや【ツツドリ】の鳴き声を聞くと『夏を感じる』と言われていますが、このところ巡視する度にカッコウの鳴き声を聞きますし、今朝は何故か?カッコウの鳴き声で目が覚めました。やはり『夏近し!』でしょうか?
 「ところ変われば、鳥変わる」と言うかどうかは解りませんが・・^^仕事中にツツドリやホトトギスの鳴き声を聞くと山の中に来ているという実感が湧きます。


 先日、あいにくの天気の中、私の前をカッコウの仲間が飛んでいくのが見えました。この仲間は鳴き声は良く聞きますがなかなか姿が見えない鳥で、特に山の中では見つけ難い鳥です。そんな鳥が私の目の前を横切っていったのです。直ぐに双眼鏡を持ち姿を捕らえましたが・・・カッコウなのか?【ツツドリ】なのか?はたまたホトトギスなのか?皆目見当がつきません・・・。
 しっかり双眼鏡では捕らえているのに・・・と焦り始めた時!『ホーッホーッ』と鳴いてくれました。
 鳴くまで待ちましたが、ホトトギスではなく【ツツドリ】でした。姿を見たのは随分と久しぶりのことでした。しかも撮影可能な範囲にいますから夢中でシャッターを切りました。しかしこんな時、どんな結末になるか?皆さんの予想通り・・・短い撮影に終わりました。


 撮影できたのはこの写真を含めほんの数枚・・・。しかも最後の写真は見切れて尾しか見えてないし・・・と落ち込んでいたら!!


 飛び去られた時にも気付いていました。「下尾筒が黄色い!」と・・・。実際にはバフ色くらいですから黄色ではありませんが・・・。


 ここで私の中で何か、スイッチが入った気がしました。というのは・・カッコウの仲間は野外での識別が困難な種として知られていて、余程のベテランでも姿を見ただけで識別するのは至難の業だ!と思っていたので、私的には野外での識別は匙を投げていました。ところが!!
 もしかして・・「下尾筒が見えたら識別が出来るのかも?」と思って、図鑑を片っ端から調べました。


 が・・・どの図鑑にもそんな記述はありません。ガッカリして、落ち込みましたが、何気なしに洋書の図鑑を見てみると!!!


 ありました!!それに関する記述が^^v思わずガッツポーズです!!
 原文のまま紹介します。


 1つは・・
 『COLLINS BIRD GUIDE 2nd EDITION』というイラストの図鑑ですが、【ORIENTAL CUCKOO】つまり【ツツドリ】の項にバフ色の下尾筒が描かれていてそこから矢印がのびて「much overlap with Cuckoo but a strong buff colour on the vent and undertail coverts, especially if also barred, is characteristic of Oriental」と説明されています。「Cuckoo」はカッコウの事で、「Oriental」はツツドリの事です。

 2つめは・・・
 『BIRDS OF EAST ASIA』というこれもイラストの図鑑ですが、同じく【ORIENTAL CUCKOO】つまり【ツツドリ】の項にバフ色の下尾筒が描かれています。そして解説文には「・・. Many Oriental have distinctly yellowish-buff undertail-coverts,lacking bars,but sometimes with distinct spots. ・・」との記述があります。



 確実に!と言い切ることは出来ませんが・・どうやら下尾筒が黄色味を帯びた色合いをしていれば【ツツドリ】の可能性がかなり高いと言えそうです。
 これで気分がのって観察記録をドンドン積み重ねたいところですが・・・【ツツドリ】とその仲間はなかなか姿を見せてくれません。早く、次の機会が欲しいのですが・・・いつになる事やら・・・