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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

コムクドリの住宅事情

2010年05月25日
秋田
 今は様々な野鳥の繁殖期です。そのせいか・・承水路の釣り人や、森の中のカメラマンなどの行動が気になってしまって、注意を促す回数が増えています。これまでのところ、皆さん好意的で、私の注意をよく理解してくださっているので助かっています。



 さて、今日は野鳥の繁殖活動について書きます。取り上げるのは、大潟で繁殖活動を始めた【コムクドリ】です。
 【コムクドリ】は春先になるとやって来る渡り鳥で、大潟では多くの【コムクドリ】が繁殖活動をします。しかし、近年大潟村では防風林の中に点在していた枯死木を伐採した為、繁殖に必要なキツツキの古巣などが絶対的に不足してしまっています。特に保護区やその周辺では顕著で・・・繁殖場所を失った【コムクドリ】が新たな繁殖場所として選んだのは・・・


 一つは「建物」です。農機具小屋であったり、車庫であったり、廃墟(?)であったり、建物に依存した繁殖行動をとるペアが何組もいます。


 このペアもこの建物を繁殖場所と決めたようです。具体的な巣が何処にあるのかは申しませんが、なんともはや・・・


 更に驚くのがこちら↓。「道路でよく見る筒状の物」です。


 上部が壊れた筒の中を伺っています。暫くすると巣材らしき物を運んできました。まさかこの場所で?と言葉を失ってしまいます・・・


 とは言え、直ぐに環境の変化に対応している適応力には感心させられます。また同時に我々の活動が野鳥達に与える影響の大きさも感じる事例です。
 キツツキの古巣にせよ、建物にせよ、他者に依存して繁殖場所を確保していく【コムクドリ】にとってみれば、大潟村には「まだまだ子育て出来る場所が豊富にある」と言えそうで、幸いと思っています。【コムクドリ】は逞しい野鳥ですね~。


 とは言え・・・野鳥の中には、かなり『神経質』な種もいます。また普段は柔和であっても繁殖期には警戒心が強くなっているのが一般的です。どうか、野鳥達の繁殖を脅かさず、温かく見守ってください。