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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

八幡平の自然を守ってきた人達(その3)

2010年04月23日
鹿角
 今年も蒸ノ湯ゲート脇で行われたアスピーテライン開通式に参列した地元、鹿角山岳会のメンバーの中に人一倍雪焼けした見慣れた顔を見つけました。
 
 伊多波 富雄さん。私がアクティブレンジャーとして赴任して最初にお会いした地元衆です。当時は秋田県の自然公園管理員をつとめておられ、早速に登山道上の倒木の情報提供と処理について的確なお話しをしていただきました。 それ以来、四季を通してふだん行くのが困難な公園内の様々な箇所に連れて行ってもらい八幡平の奥深さを教えてもらいました。一緒に歩いていると色々な「知恵」を学ぶことができます。例えば冬にルートの目印を木につける時は結び目を登ってきた一定方向に揃えておくと、視界不良になっても下る方向がわかるといったようなこと。

  シーズン中には何度も主要ルートを巡回し、刈り払いや崩壊箇所の修理、危険箇所のロープ張りと人目につかないところで黙々と活動を続けてくれました。「よそから来てくれる方に安全で楽しんでもらうように努力するのが地元としての責任」というのが彼の口癖です。昨年から管理員の職を後輩の山口さんに譲りましたが、心身共に八幡平の自然を守る活動ではいまだバリバリの現役です。

 


伊多波さんが私にこう言ったことがあります。「山を逃避の対象として来る人がいるが、それは違う。本当は自分が前向きになれる場所が山なんだ」