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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

白神山地のいきじびき

2010年04月22日
白神山地
4月も中旬になりましたが、なかなか気温が上がらず、寒い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか。
通勤路途中にある弘前公園の桜も、開花の瞬間をいまかいまかと待っている状態です。

昨日雨の中、西目屋村の美山湖周辺にある砂川学習館に、打ち合わせとご挨拶に伺ってきました。
今年度、総合学習や各種業務において利用させていただく機会が多く予想されるため、下見も兼ねて展示や実施されている体験プログラムについて説明を受けました。
館内には、古民具として昭和30年代から50年代にかけて、実際に白神山地周辺で利用されていたものが展示されています。


砂川学習館の農機具に関する展示 photo 2010.4.21

実際に生活の中で使い込まれた道具が多く、肩紐がとれかかった背負子(しょいこ)やひび割れた臼と杵などが整然と並びんでいます。その道具一つ一つが、今では考えられないような労力を必要とし、歴史や社会背景を伝えうる「いきじびき」のように感じられます。



砂川学習館の林業に関する展示(そり) photo 2010.4.21

例えば、上写真に示す林業で用いられていた道具についてです。
中央の大型の「そり」は、目屋ダムができる前の白神山地において、森から切り出した木材を積雪期に運ぶために利用されていたそうです。さらに斜面を利用して運搬した木材は岩木川の上流に集められ、融雪期の増水にあわせて弘前の町まで川の流れを利用し運搬されていたそうです。
これらの方法だと、積雪が山肌を覆い、山への負荷も少なく、自然エネルギー(重力)を活用し木材を運搬することができていました。
このことから、白神山地の森と弘前の町を結びつける一連のネットワークを垣間見ることができます。



砂川学習館の林業に関する展示(のこぎり) photo 2010.4.21

また、展示されている多くの「のこぎり」や「なた」等の刃物からも、白神山地と弘前市のつながりを伺えることができます。
白神山地の森で使われていた刃物の多くは、弘前の鍛冶屋などで研がれていたそうです。そのため現在の弘前市においても、刃物を取り扱う商店が多く、地名についても「新鍛治町」や「銅屋町」という町名が残っています。

皆さんの住んでいる町も、もしかしたら白神山地や周辺の山々とつながっていたのかもしれませんね。
機会があれば、調べてみてはいかがでしょうか?
(砂川学習館についてはこちらのHPをご参照ください。昔の暮らしの息づかいを感じてはいかがでしょうか。)