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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

北八甲田巡視No.1

2010年04月22日
十和田
4月22日に八甲田大岳(1584m)に登って、登山道の状況を確認してきました。八甲田大岳の巡視日記は今回が一回目ですので、コースの様子を分かりやすくお伝えするために、少し詳しく書いてみます。
行程は酸ヶ湯温泉から仙人岱避難小屋を経由しての大岳ピストンです。
ここ数日、悪天と気温の低い日が続いていまして、この日も酸ヶ湯温泉付近は濃霧・みぞれ・強風で視界はわずか30m程でした。

酸ヶ湯温泉登山口(900m)から仙人岱避難小屋(1330m)までの登山道はほぼ雪に覆われているので安全な登山をするためには地図やコンパスは欠かせません。スキーコースの看板や誘導のためのポール、登山者たちの歩いた足跡も参考になりますが、視界の悪いときや雨や雪が降るととても見えにくくなるので注意が必要です。


酸ヶ湯から地獄谷へ向かう途中。このような状況ではコンパスが大活躍。

樹林帯を抜けて地獄谷にさしかかると風はいちだんと強さを増し、下流方向から吹き上げる風に硫黄の臭いも混じるようになります。地獄谷の上部は吹き抜ける風のためか積雪が少なく、一部では登山道が出始めている箇所もありました。

仙人岱の避難小屋入り口は除雪されており、一階の玄関から出入りすることができました。
ここで装備を調え、体が冷えない内に一気に山頂を目指します。
大岳山頂付近も強風で積雪が少ないだろうと見込んで、スノーシューは小屋に置いていくことにしました。

大岳におけるアオモリトドマツの森林限界1400m付近を過ぎると環境は一変します。
登山道はほとんどむき出しになり、細かいあられが容赦なく顔に吹き付けます。まるで一秒間に30回くらいのペースで顔面に強い静電気を浴びせられているような感じです。
風が強過ぎて息をするのも困難です。大きい樹木が生育できない理由を肌で感じました。


標高1400m付近。登山道が見え始めます。

登山道は雨とあられと強風で所々カチカチに凍り付いており、雪のある柔らかい場所を選んで慎重に歩く必要がありました。また、凍っているのは登山道や岩だけでなく、登山道のロープや自分の背負っていたバックパックも見事なまでに氷でコーティングされていました。
山頂直下にある鏡沼付近ではまつげも凍り付いてしまい、まともに前を見ることもできませんでしたが、幸運なことにピンポイントで山頂のみが比較的風が弱く無事登頂することができました。
この時期の登山にはこの時期にしか味わえない魅力がたくさんありますが、天候と装備には十分注意して楽しんでいただきたいと思います。


大岳山頂のロープ。まるでイカの卵のよう。風の強さがうかがえます。

※巡視で得た情報については酸ヶ湯インフォメーションセンター内の掲示板とアクティブレンジャー日記で随時発信していく予定です。