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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

承水路の賑わい ~カンムリカイツブリ編~

2010年03月09日
秋田
 3月の初旬は入試、合格発表、卒業、異動、退職などなど・・人生の節目にあたる時期ですね。私もこれまでにそういった経験を経て現在に至っていますがこの頃の思い出ってヤケに鮮明に覚えていませんか?昨日の事のようっていったら大袈裟ですけど・・そして今年もまた思い出が増えていく。



 今日から数日間、この日記で「西部承水路の今」をお伝えしていこうと思います。これまでもたくさん取り上げてきましたが、ここの鳥相を見ただけで『春』を実感できると思います。
 この冬から春へとうつろう季節をそこにいる野鳥から感じてみましょう。


 まず初日取り上げるのは【カンムリカイツブリ】です。

 大潟村をぐるっと取り囲み旧八郎潟とそれが日本海へと注ぐ河口付近と連続する水辺環境を観察していると年間を通して【カンムリカイツブリ】を見ることが出来ます。春にはまだ冬羽の個体が氷の溶けた水路に戻ってきます。そこで巣作りをし、繁殖。夏には日に日に大きくなっている雛の成長を見守りながら、秋にはすっかり自立して一人前になった幼鳥の姿に目を細め、真冬でも河口付近で潜水して採餌する様子が観察できます。

 今は、ちょうど氷の溶けた承水路に【カンムリカイツブリ】が戻ってくる。そんな時期なんです。ですが今年はこれまでに比べて羽数が多いようです!!先日巡視した時には西部だけで20羽を数えました。これに東部承水路などを含めると一体何羽が生息しているのか?考えただけでワクワクしてきます。 




 戻ってきた【カンムリカイツブリ】は大半が2羽で行動しています。勿論1羽で過ごしている個体や3羽が一緒にいる場面も見ることがありますが・・・
 先日参加した野鳥観察会で講師の方が『野鳥が2羽で居るからそれが必ずしも番(つがい)とは限らない』というお話しをして下さったので、躊躇いを感じますが・・・今年はここで何組が繁殖してくれるのかな?という期待は高まります。


 この【カンムリカイツブリ】ですが、数年前までは現在のように大潟周辺で、当たり前に観察できる野鳥ではなかったそうです。
 僅か数年前には「冬鳥」として男鹿市などの港で時々観察できる程度の観察例しかなく、一時期は港に【カンムリカイツブリ】目当ての愛鳥家が大勢押し寄せたこともあったとか・・・。
 それが今や年間を通して観察が可能に!!日頃お世話になっている日本野鳥の会秋田県支部の方々は『あの頃は【カンムリカイツブリ】をこうして1年中観察できるなんて想像もしなかったな~』と話してくれました。
 私は今のこの状況しか知りませんから、その頃の話は想像するしかありませんが、今のこの状況下で観察できて幸せなんだと感じています。